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LAW360において、クイン・エマニュエルが最も侮れない原告側法律事務所に選出されました。 (13/11/27)
選出理由、ならびに掲載記事は以下のとおりです。
最も侮れない原告側法律事務所:クイン・エマニュエル
(Linda Chiem執筆)
Law360、ニューヨーク(2013年10月18日、午後6時(アメリカ東部標準時))
クイン・エマニュエル・アークハート・サリバンは、連邦住宅金融庁(Federal Housing Finance Agency、FHFA)及びMBIA Insurance Corp.等の依頼者のために、巨大銀行を相手に10億ドル規模の勝利を手にし、これにより、金融崩壊後の訴訟における一大事務所としての名声を得るとともに、Law360の最も侮れない原告側法律事務所リストに名を連ねることとなった。
金融崩壊の前後に、クイン・エマニュエルの幹部は、世界的金融機関及び多くの大手会計事務所に対して請求を行う依頼者を代理できるようにするため、それらの企業との関係を断ち切ることを決断した。
その戦略は事務所にとって十分に利益をもたらした。事務所は、判決及び和解により原告に200億ドル近くをもたらした実績をすでに有し、現在では、世界の巨大銀行に対してサブプライムの影響を受けた証券や住宅ローン担保証券(RMBS)のような複雑なストラクチャードファイナンス商品についての請求を行うリーダーとして認められている。
パートナーのビル・アークハートは、「多くの他の事務所のように、我々は投資銀行や民間金融機関からの仕事を求め、これらの銀行からいくらかの仕事を受任していたが、5万フィートの高さから見下ろしてみたときに、我々はそこからあまり多くを稼いでいなかった。」とLaw360に語った。「大きな投資銀行との決別により、極めてうまくいくこととなった。」
クイン・エマニュエルの証券・ストラクチャードファイナンスプラクティスグループの議長であるフィリップ・セレンディによれば、クイン・エマニュエルは、訴訟準備に対する綿密な取り組みと知識の構築に支えられながら、銀行が用意するであろう荒々しい法務チームと戦うための部隊を集めるため、2007年前半に、所属弁護士をRMBSのような複雑な金融商品の専門家として養成するようになった。
セレンディは、「我々は知識の領域において勝利したい。」と言う。「我々は、すでにある知識を用いて、特に住宅危機から生じた様々な問題に着目する方法を見つけた。市場で見ていたことだけをもってしても、我々は、益々重要な投資となるモーゲージにとって重要なあらゆる種類の商品の販売において不正行為が行われていたことを、非常に早い段階から理解していた。」
その流れでは、事務所が扱った仕事の中でも最も注目を浴びたもののいくつかが、Fannie Mae(連邦住宅抵当金庫)及びFreddie Mac(連邦住宅貸付抵当公社)の資産保全者であるFHFA、及びMBIA Insurance Corp.を代理して、UBS AG、Citigroup Inc.、Bank of America Corp.といった会社その他を相手方とした案件である。
アークハートは言う。「銀行が有していた情報面での優位さは、彼らが、とても、とても優秀な人々を擁する極めて成功した大規模法律事務所を雇っていた点にある。しかし、我々の弁護士はどこにあっても最も優秀な弁護士であり、互角になったと言えよう。間隙は我々によって埋められたのだ。」
クイン・エマニュエルは、FHFAを代理して、金融危機以前にFreddie Mac及びFannie Maeに対して販売された不動産担保証券における不当表示を主張し、ほとんどの大手引受銀行を相手方とする14件の訴訟を連邦裁判所及び州裁判所に提起した。
代表的な事案であるUBS Americas Inc.に対する訴訟において、クイン・エマニュエルは、UBSによる証券法及びブルースカイ法の主張に対する訴え却下の申立て(motion to dismiss)を退けることに成功した。同連邦裁判所における決定は、住宅経済救済法(Housing and Economic Recovery Act)における法定責任期間(statute of repose)の停止、FHFAが職務代行者として訴訟を提起する憲法上の権限という重要な争点に関して、第2巡回区控訴裁判所においても維持された。
両裁判所は、2008年の住宅経済救済法の成立に伴ってFHFAが創設された時点において、国会は、同機関に対し、会社に不動産担保証券を販売した銀行に対して訴訟を提起するかどうかを調査し決定するために必要な時間を訴訟開始前に与えることを意図していたと結論付けた。
UBSは、7月に、8億8500万ドルを支払って当該訴訟を和解することに合意した。これは、Citigroupとの同様のRMBS訴訟に関する別の非公開の和解に続き、FHFAにとって2件目の実質的な勝利となった。
「クイン・エマニュエルは、FHFAの権限の法的基盤と政府機関を依頼者とする場合に特有の要件とを素早く把握した。」とFHFAのジェネラルカウンセルであるアルフレッド・ポラード氏は、Law360に対して語った。「このことは、彼らによる同機関の代理の成功にとって非常に重要である。」
金融保証保険会社MBIAは、Bank of Americaの一部門のCountrywide Home Loans Inc.が、MBIAを欺き保証をさせるために、自身の引き受け規準に違反し、その上で瑕疵のある不動産担保証券(約40万件のローンファイル、額面220億ドルにのぼる。)に関する問題を隠蔽したと主張したニューヨークの訴訟において、クイン・エマニュエルの優れた訴訟能力により利益を得たもう一人の依頼者である。
ニューヨーク州及び控訴審の裁判所において、MBIAに実質的に有利な判断(保険会社は、不当表示の主張において、合理的な信頼や損失との因果関係を示すことなく損害を回復することができることの確認などを内容とする。)を示したサマリージャッジメントを得た後、事務所は、Bank of Americaとの間で、同行による現金の支払、MBIAから購入した商業用不動産担保証券に関するクレジット・デフォルト・スワップ契約のうち未払いのものの終了、当該会社間のその他の投機的なポジションの全ての処分を内容とする17億ドルの和解を迅速に成立させることに助力した。
Assured Guaranty Corp.の業務執行取締役兼副ジェネラルカウンセルであるエドワード・M・ニューマン氏は、Law360に対し、セレンディ率いるクイン・エマニュエルの証券訴訟チームは計り知れないほど価値があると述べた。そのチームは、UBSが引き受けて売却したRMBSのためにAssuredが発行した財務保証保険から生じたUBS Real Estate Securities Inc.の表明保証違反訴訟において、同社からAssuredが4億5000万ドルの和解を勝ち取る助けとなった。
ニューマン氏は言う。「フィリップは法廷で存在感を発揮しており、彼が通常目覚しい成果をあげることから、相手方は、彼と争うことは危険であると知っている。」「彼が味方であることは、実に価値のある財産である。」
クイン・エマニュエルは、ビジネス訴訟のみに特化した法律事務所として1986年に設立されて以降、弁護士数が4名から600名強に増え、世界中に15のオフィスを持つまでに成長した。クイン・エマニュエルは、厳格にビジネス訴訟専門の法律事務所としてあり続けることにより、他に類を見ない、訴訟を舞台とする才能集団をまとめ上げてきた、とアークハートは言う。
「私たちは、それが我々にとてつもなく大きな強みをもたらしたこと、また、それにより、我々は一つのことを行っておりその点において他の誰よりも優れた存在でありたいという観点から、統一的なメッセージを持つことができるようになったことに気づいた。」とアークハートは言う。
この事務所が比較的新しいことは、収入源である銀行取引に関する訴訟、金融機関との訴訟あるいは知的財産訴訟に止まらない多種多様な領域における、何年もかかる大規模訴訟に取り組む能力を妨げることにはなっていない。
例えば、この事務所は、Dubai Ports Worldに対し、イエメン共和国及びその国有企業であるYemen Gulf of Aden Ports Corp.との和解交渉について助言したが、これにより、そのアラブ首長国連邦を本拠とする港湾管理業者は、請求金額の80%を回収し、イエメンのアデンにおいて2か所のコンテナターミナルを開発、運営、管理するため、イエメン及びYGAPCと設立した問題の合弁会社におけるすべての権益を処分した。
また、クイン・エマニュエルは、依頼者であるRosen Capital Partners LPがMerrill Lynch Professional Clearing Corp.から8000万ドル近くの支払を受ける仲裁判断を獲得したが、これは、2011年に金融業規制機構(Financial Industry Regulatory Authority)の仲裁パネルが出した最も多額の投資家仲裁判断のひとつであった。Merrill Lynchはこの判断の破棄又は無効を求めたが、カリフォルニアの裁判所によって棄却され、判決は最終的に8900万ドルに増額した。
-エバン・ワインバーガー及びブライアン・マホーニーにより追記。ジェレミー・バーカー編集。
LAW360の記事 - 原文 (PDF)