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スペシャル対談001

法曹界の革命児が取組む日本を元気にする知財戦略

法律事務所ホームロイヤーズ(現 法律事務所MIRAIO)

西田 研志氏

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ヘンリー幸田

(へんりー・こうだ)

クイン・エマニュエル法律事務所 東京オフィス共同代表

パートナーのウィリアム・アンドローラと共にコーダ・アンドローラ法律事務所を1977年に設立し30年を経て、2007年にQuinn Emanuelのパートナーの一員となりました。ヘンリー幸田は、国際知的財産法およびビジネス法務を中心に長年の経験を有しており、特に日米特許・商標・著作権法に関する訴訟、侵害分析、ライセンス契約を専門としています。国際的知的財産権法に関する数々の専門書(2007年現在で14冊)や150を超える論文を執筆しており、代表的な著作として、「米国特許法遂条解説」、「日米特許紛争解決:スーパーマニュアル」、「アメリカ特許事件ファイル」、「米国特許訴訟:侵害論」、「解説ITC」、「ビジネスモデル特許」などがあります。また、これらのテーマに関連して、様々な組織や団体において講演も行っています。また、国際的なトーマス・エジソンの研究家、発明品のコレクターとして、「天才エジソンの秘密」の著者でもあります。さらに、創価大学法科大学院において教授としてアメリカ法及び知的財産法を教えています。

クイン・エマニュエル法律事務所

西田研志

(にしだ・けんし)氏

ホームロイヤーズ(現 法律事務所MIRAIO)所長。長崎県佐世保市生まれ。一橋大学法学部卒業。学生時代に一橋大学奥アマゾン第二次踏査隊長を務める。卒業後、日商岩井入社。1987年弁護士登録。フィリピン残留孤児や日比混血問題、ドミニカ移民問題なとの国際人権問題分野の開拓者としても知名度が高い。一方、弁護士広告解禁、価格自由化を提言し、弁護士業務改革のリーダーとして注目されている。個人的には世界的なワインコレクターとしても知られる。

法律事務所ホームロイヤーズ

(東京都港区)

企業法務、個人向け法務双方を含む総合的な法律事務所として1990年設立。一般的には多重債務者の救済、過払い利息の回収等で有名だが、多方面で革新的な手法で法務サービスを提供している。特に最近では主として中小企業の技術や特許を独齢に評価して、その技術の効果的な活用を促す活動も開始し、注目を集めている。

所属弁護士11人、弁理士2人そのほか、大企業の知財部における経験者を多数採用、知財コンサルも行う。

あらゆる案件を大量に画一的に高度専門的に 処理するシステムの構築を

幸田 西田先生はホームロイヤーズという非常にユニークな組織をおつくりになったと聞いています。広く一般にもホームロイヤーズは多重債務者救済で非常に有名になりましたが、この組織の沿革というか、どういった経緯でこの組織ができたのかというところを、まず最初にお聞かせいただけますか。

西田 もともと私は、人権関係の問題に二十数年取り組んできました。フィリピンの残留邦人の問題や海外における環境事件など、現地の人を代理して日本政府や大企業を相手にする大型の案件もこれまでに数多く手がけています。そのように、弁護士はひとりでも依頼者が沢山いて、さらに相手が大きいという事件を数多く処理してきたわけです。それらをどういう手法で成功させたかというと、問題解決のプロセスを徹底的に最適化して解決モデルを構築したのです。雑多に発生する業務をマニュアル化、標準化したうえでITを駆使して情報管理を行ない、パラリーガルが作業をできるところにまで落とし込んだのです。フィリピン残留日本人の国籍確認など、膨大な歴史的証拠などが必要になる大型の案件を担当するうちに私か思い当たったのは、結局、法律業務はすべて、要件事実を確認し、事件処理方法の細部にいたるまでマニュアル化して標準化すれば、簡単に行なえるということだったのです。

幸田 具体的にはどのようにお進めになったのですか。

西田 たとえば、フィリピンの残留日本人の国籍確認の問題なら、戦後3000名ほどが取り戻されました。そういった人々の苦難の歴史を家族ごとに立証して、日本政府に対して国籍の回復を迫る。これは非常に膨大なプロセスです。しかし、それに関しても、証拠の収集や評価、分析などをマニュアル化することが可能でした。この時には、報告書を英語でQ&Aシートにまで落とし込むということをやりました。それを通じ戦前戦後の歴史を明らかにしたのです。

幸田 なるほど。そうした手法を多重債務者の救済に応用したということですね。

西田 ええ。そういった経験を踏まえて、10年前ぐらいになりますが、当時、300万件から400万件と言われていた、多重債務に苦しむ人たちの肋けになるようなシステムをつくろうと考えました。さらに言えば、消費者問題だけではなく、労働事件や離婚事件、また医療過誤についてもこれまで3000件を超える相談を受けていますが、そういったすべての案件を、大量に、画一的に、しかも質の高い処理をするシステムを構築しました。

幸田 その発想には、何かモデルのようなものがあったのですか?

西田 具体的なモデルというものはありませんが、私はもともと商社に勤めていましたので、様々な事業について勉強する機会がありました。事業者というのは、経営戦略を練り上げるために、事業を取り巻く環境を要件ごとに分類し、さらに、要素や要因といった周辺環境を徹底的に分析しますよね。そして、それらを組み合わせたり重ね合わせたりしながら最適な道を探るわけです。これが経営の基本であって、民間の企業は当然のように実行してきたことです。法律の世界も、もっと早くそれに気づくべきだったと思います。

幸田 それを可能にするためには、弁護士の環境整備が必要だったようですが。

西田 私は1999年の9月に、弁護士広告の禁止と弁護士報酬規定に関して、公正取引委員会に措置請求を出したのですが、それは日本の弁護士の活動のあり方に限界を感じたことが理由です。1年後には弁護士広告が解禁になり、その後報酬規定も事実上撤廃されました。それをきっかけに、大量かつ迅速に、そして正確で標準的に案件を解決するシステムというものを、色々な分野で開発することが可能になったのです。

幸田 あの改正は西田先生が仕掛けられたのですか。

西田 具体的には、業務をマニュアル化、標準化し、ITでバックアップしていく。そこにパラリーガルを使うのです。さらに言えば、弁護士業というのは、書類作成や証拠収集、調査など事務作業の固まりですが、これらはすべてアウトバウンドすることができます。そしてITを使った情報ネットワークを使えば、すべての情報を弁護士が管理統制することができるのです。この方法ならば、弁護士ひとりにパラリーガルを10名つければ、弁護士の仕事量は10倍に。さらに、それぞれのパラリーガルに20名のアウトバウンドしたスタッフをつければ、さらに20倍。単純な計算ですが、弁護士は200倍の生産性をあげることが可能になる。このシステムこそが、わずか2万人の弁護士数で日本国民が抱える1000万作以上のニーズを満たすための、唯一の方法だと私は思っています。

幸田 なるほど。そのあたりがホームロイヤーズの基本理念ということになるのでしょうか。

西田 付け加えさせていただくとすれば、日本は無法社会ではないかと私は思っています。弁護士が機能していない、裁判所も実は機能していない、警察も検察も十分には機能していない。機能不全だらけの官僚支配国家です。多くの弁護士も官僚的な発想で仕事をしていますから、真の法治国家とは言えない。

幸田 最近の足利事件の冤罪問題をはじめとする司法の様々な不祥事を見ていると、そう思わざるを得ない面があります。

西田 ホームロイヤーズの根本にある目的は、法治国家を実現するということです。具体的には全国に安心安全ネットを張り巡らせて、それを実現する。安心安全ネットとは、我々を含む法律の専門家をはじめ、その他の専門家やパラリーガルなどが有機一体となって、国民の生活に関わる大きなナレッジ産業を巻き起こしていくということです。現在、我々はアウトソーシングセンターも含めると600名を雇用しています。弁護士は所属が11名、協力弁護士が25名。

専門化したプロの技はすべて標準化できる という確固たる信念

幸田 お話を伺っていて、非常にユニークな発想で組織やシステムを構築されているなと感心いたしました。このようなケースは日本ではもちろん、アメリカでも見たことがないですね。パラリーガルのお話が出ていたのでお聞きしますが、何か特別な教育やトレーニングを内部的にしておられるのでしょうか。

西田 基本的にはOJTですね。法律を知らない人の方が、偏見がなくて理解が早いです。以前は営業をやっていた、というような人の方が我々の求める業務には適性の仕事があることが多い。なぜならマニュアル化されている仕事を、淡々とこなせばいいからです。そのうちに徐々に業務の流れがわかってくる。そしてわかってきたところで専門教育を施していきます。

幸田 むしろ、法学部出身者以外を採用することが多いのですか。

西田 出身学部はまったく関係がないですね。むしろ大学を出ていない人の方が、よく仕事ができる場合が多いです。要するに彼らは、法律というのはこんなにやさしいものなのか。ということをケースを多く処理することで学ぶのです。まさに私が著書で書いた通り、「サルでもできる弁護士業」というわけです。

幸田 サルですか(笑い)。一般的には弁護士といえば高級職人というイメージですが。

西田 たとえば、医療や農業でも同じことが言えると思いますが、職人の技というものはそのほとんどがマニュアル化、標準化できると思うのです。農業の分野でいえば、世界でも先進的な和郷園という農事組合法人がありますが、作付けや土壌管理、収穫、流通にいたるまでのすべてをITで情報管理して大きな成果をあげています。つまり、農業もマニュアル化、標準化することができるのです。

幸田 弁護士ばかりが特別ではないと。

西田 例えば、金型や木型など、昔は技能オリンピックに出るような匠の技も、今はCADのようなシステムを使えば誰もができてしまう時代ですから。私には、プロの技はすべて標準化できるという信念があるのです。しかも弁護士が扱うのは言語です。言葉によっていわゆる社会的な概念を操作するのが我々の仕事ですから、これは有限性のある業務です。弁護士は難しい仕事をすると言われますが、そんなことはあり得ない。例外ですら規則性を為していますし、どんな難しい事件でも、要件事実は限られています。では何か難しいのかと言えば、それは依頼者をどう説得するかということです。この部分には人間的なコミュニケーションが必要になりますし、説得のために、決断のチョイスを過不足なく提供するということが優れた弁護士の条件になると思います。しかし、そのプロセスに間しては、標準化することができるのです。

幸田 先ほどからお話をお間きしていて、西田先生が現在の弁護士のあり方に批判的だと私は理解したのですが、今の法曹界にどのような問題があるとお考えなのですか?

西田 まず、低生産性、非専門性、非効率、報酬等の不透明性が挙げられると思います。さらには、手法の前近代性、そして最後に言わせてもらうなら、自分たちの描く弁護士像があまりにも陳腐だということです。弁護士自身が持つ弁護士像に、社会のなかの良き市民という見方がない。自分たちがエリートだの、選民だの、公的な立場にあるなどと考えるから、競争してはいけないとか、利益追求に走ってはいけないという思想が出てくる。こういった思想が業務姿勢に顕われて低生産性を生むのです。しかも弁護士は業務を独占していますから、あり余る事例をよりどりみどりで選べばいいだけ。

幸田 西田先生の場合、そういった意識は弁護士になる前からおありになったのでしょうか?

西田 いや、最初は弁護士に憧れていましたが、実際には1年目でこうした問題に気づきました。埼玉弁護士会に入ったのですが、とんでもない派閥の世界で。少しでも他人と違ったことをやろうものなら、いじめを受ける。これはとてつもない時代遅れの組織だと痛感して、1年ぐらいでアメリカに逃げ出しました。

幸田 アメリカでは実際にどのような活動をされたのですか?

西田 バークレーのロースクールに行くつもりで留学したのですが、結局、それほど勉強もせず1年足らずで帰ってきました。ロースクールには行けませんでしたが、バークレーの色々なサークルに自由に参加して、アメリカ人の学生や研究者とは大いに議論もできましたし、今もライフワークになっているワインにも出会えました(笑い)。私にとっては、非常に有意義な時間でしたね。

中小企業に活力を与えてこそ 日本経済は浮上する

幸田 このたび、こちらでは知財の分野に進出されるということですが、それはどのようなきっかけで。

西田 私は今までに数多くの中小零細企業からの相談を受けてきましたが、総じて経営実態が本当にひどい。せっかく高度な技術を持っていて優秀な人材も揃っているのに、非常に前近代的な経営をしています。これらの企業にしっかりとした合理的な経営を根付かせる必要がある。そうやって中小企業を強くすることこそが、私は日本を立て直す道だと考えているのです。

幸田 おっしやる通りです。

西田 そこで、中小企業の経営ナビゲーションをするシステムをつくりました。古い言い方をすれば、企業から見て参謀をアウトソーシングするビジネスです。これを3年前に思いついて商品化しました。ありとあらゆる分野で、個人法務と並んで、企業に対するサービスにも特化してやっていこうと考えたわけです。

幸田 つまり、西田先生が仰っている知的分野というのは、基本的には日本の中小企業の知財活動を援助するということですか。

西田 そういうことになります。幸田先生もよくご存知かと思いますが、大企業では知財部と研究開発部、マーケティング部などが連携して、知的財産を純粋に情報として商品・研究開発の前提に使っています。しかし、中小にとどまらず、中堅企業でも、社内に知財部がなかったり、あってもレベル的に問題があるということは多いですよね。つまり、知財を本当に経営戦略に役立てているのは、実際大企業に限られています。中小企業というのは知財を使おうにもそれについての認識や知識すらないのです。大企業のようなリソースや情報の部門があるところは市場動向や技術情報などの調査を綿密にして、商品開発の方向性を決めていくわけですが、中小企業の場合はそういう業務の組み立て方すら知らない場合がほとんどです。

幸田 確かにそうですね。

西田 もっとも、街に出て彼らが助けになるサービスを探そうにも、特許庁や裁判所は助けてくれないし、特許事務所はR&Dや発明のところだけをやっている。頼りの弁護士事務所にしても、扱うのはせいぜい契約や訴訟問題です。我々は知財を産業のアウトプットだと定義しています。つまり、R&Dをやって製品を製造し、それが知財という形で出願され商品としてアウトプットされる。たとえば日本のGDPの110兆円くらい、つまり半分以上は中小企業が支えているわけです。知財が産業のアウトプットだということならば、中小企業のアウトプットが全体の半分を占めていなければならない。ところが日本の特許40万件のうち、中小企業のものは5万件ほどしかない。このようなデータを見れば、いかに中小、中堅企業が発明・出願を活用できていないかということがわかります。活用どころか、彼らにとっては特許というものは遥かに次元の違う話です。経済産業省が今、中小企業に権利を活用しましょうなんて盛んに言っていますが、そんなの絵に描いた餅でしかない。

幸田 そんな余裕も深い知識もないところがほとんどですからね。

西田 彼らにはまず、そこに行き着くまでの、ビジネスとしての知財の使い方をサポートする存在が必要なのです。中小企業の方々は、目の前の仕事で手が一杯で特許や知財なんて手が回りませんとおっしやいますが、本来は逆なんです。知財を使った方が、遥かにR&Dや商品化が効率化できる。だから我々は、世の中の知というものを使ってあらゆる調査を行ない、R&Dの最前線まで中小企業をナビケーションしようと考えているのです。技術開発を山登りに例えるなら、九合目までは情報の調査で登れるということを理解してもらい、あとの一合目を各企業が真に強い部分を活かして開発をする。それが、中小企某の生き残る道だ、というのが我々の考えであり、コンセプトなのです。

幸田 なるほど、そのコンセプトは興味深いですね。

西田 さらに、彼らからのアクションを待つだけではなく、今後優秀な技術をもつ日本の中小企業を10万社ほどビックアッブする計画を持っています。そして、彼らの特っている技術や特許をこちらで独自に評価して、それを彼らにフィードバックさせます。白分たち自身がどれほど優れた技術を特っているのかを知ってもらうわけです。また、技術者を分野ごとにまとめて、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使い、世界中でコミュニケーションできるシステムを構築しようと考えています。

幸田 それはシステムとして、さらにはビジネスモデルの特許としても面白いものができそうですね。先生からお話をお聞さして非常にスケールの人きさを感じますが、実はマイクロソフトが先生の取り組みと部分的に重なる発想を特っているような気がします。マイクロソフトはここ数年、手の内のベンチャーを使って、埋もれた技術特許を密かに買い集めているのです。彼らがこれらのパテントを何に使おうと考えているかというと、それは自動車のコンピューター化のようです。セキュリティ、エンジンのコントロールから、ブレーキ、温度、音響まで、すべてをワンチップでコントロールする。この分野で世界を制覇しようと彼らは考えているのではないかと私はにらんでいます。自動車のコンピューター化は、ビルケイツにとっては念願であるホームコンピューターの足掛かりでしょう。

西田 私達は社会企業ですから、マイクロソフトのように自社のためというより、社会のためになることをやろうと考えています。つまり内需を刺激する。資本主義というのはものづくりが原点ですから、日本の埋もれた技術を掘り起こして、まずは中国に買ってもらおうというわけです。それに、私は貧者ですから、基本的に貧乏人しか相手にしません。今後は、BRICsやベトナムなど、途上国では民生品の開発が主になってくると思います。今は車にしても、ハイテクだけではなく口ーテクを組み合わせて安く売るという方向ですね。環境の制約もありますから、ローカルのものをいかに上手く使うかということも考えなければいけない。そこでは日本の古い技術が役に立つと思います。民生市場にマッチした技術開発において、日本の技術の裾野の広さというのは必ず有利になるはずです。

幸田 なるほど。マイクロソフトよりも、もしかすると先生のやろうとしていることの方が、スケールが大きいのかもしれませんね。しかし、その上うなシステムをつくりあげるには、事務所内で知財部門の体制が重要になるかと思います。各方面の専門家の糾合というお話もありましたが、そのあたりをもう少し詳しくお話いただけますか。

西田 このプロジェクトを実行するために、様々な分野のプロフェッショナルを集めています。具体的には技術でいえば、機械、電機、材料、科学と、それぞれの分野のプロフェッショナル。知財の分野でいえば、特許出願、コンサル、海外での訴訟や契約、開発会社の立ち上げなど、幅広い経験を持つ専門家など、知財の各方面での経験を結集してという感じですね。日産や東芝、調査会社で深い経験をお持ちの方など、幅広い人材を時回をかけて揃えてきています。

クイン・エマニュエル法律事務所

グローバルの波を乗リこなし その構想は世界ヘ

幸田 では、私自身も非常に興味のあるところですが、ホームロイヤーズの今後の経営形態についての構想をお聞かせください。

西田 個人法務から企業法務、あるいは環境、人権などさまざまな分野に専門的に取り組む1000名規模の弁護士が、ネットワークで結ばれる。そして、情報端末と携帯電話を使って、それぞれの情報を結び合って仕事を実行していく巨人なソリューションシステムを、年内には完成させます。現在、最先端のシステムを開発中ですが、8月からはベーパーレスでどこにいても仕事ができるという環境が整う予定です。世界中のナレッジもそこに連結できるわけですから、これは時空の壁を破る新しいコミュニケーションシステムです。さらに、モバイルを使った法律相談、解決システムも、現在、構築しています。これは要するに、要件事実を事件のテーターベースとして開示してですね、自分の抱える事件にヒットすれば、Q&A形式のヒアリングシートが出てくるというものです。それが限りなく細分化されていて、クリックしていけば解決にまで導かれる。そして、その書類を送信すると、コールセンターで情報が人力されて、即座に訴状や申し立て書が出来上がってくるというシステムです。

幸田 それも、日本の法曹界だけでなく、中国やアメリカでも革命的なシステムですね。

西田 上海では、大手法律事務所と提携してコンサルティング会社を設立しました。中国は訴訟社会に移行していますし、中国人は非常に合理的ですからね。日本のような口うるさい弁護士会もありませんし。とにかく、我々はこういったビジネスを世界に広げようと考えています。どれもビジネスとしては世界で通用するものだと自負していますから。

幸田 これもお聞きしたかったのですが、先生の場合は日弁連的な発想から非弁だと非難されることも多いですよね。そのあたりについてこ意見は。

西田 そうですね。私はこの8年間、法曹界ではまるで犯罪者のように扱われながら常に戦ってきました。ですが、結局、我々が使っているITシステムとマニュアルを見せれば、そんなことは議論にすらならない。つまり、まったく非弁の余地がないというはっきりとした根拠になるのです。パラリーガルの誰がどこで何をどのようにするか、これは全てマニュアル化されていますし、そのうえ、担当弁護士が全ての情報を統制している。さらには、仮に当該弁護士が不正な動きをしたというようなことあっても、それすら全て管理することができるのですから。逆に言えば、こういった統制をきちんとしないと、非弁なんて本来は絶対に使えないはずですよ。

幸田 ありがとうこざいます。それでは、最後にもうひとつだけ。先生が近いうちに弁護士をお辞めになるというお話も耳にしたのですが、本当なのですか?

西田 ええ、そのつもりです。ですが、後継者の問題が非常に難しい。みんな怖がるのですよ。弁護士会と戦わなければ、道は開けない。これってみんないやですよね。ですから、この業界自体を変革した時にこそ、辞めるのが最良かと最近は思います。あるいは、敵そのものが我々に同化してしまった時ですかね。

(The Lawyers July 2009より許諾を得て転載)

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