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証券訴訟において高まる専門家証人の重要性 (10/12/24)
昨今、連邦裁判所が証券訴訟においてクラスの承認(Class certification)にあたり、より高い証拠基準を求めるようになっている。これに伴い、クラスの承認申し立ての理由を明確にするために専門家を証人として利用することが増えている。クラスの承認により厳格さを求めている筆頭は、第2巡回区控訴裁判所及び第3巡回区控訴裁判所である。
第2区所在地はニューヨーク
地方裁判所管轄区域はコネチカット州、ニューヨーク州(北部地区/南部地区/東部地区/西部地区)、バーモント州
第3区所在地はフィラデルフィア
地方裁判所管轄区域はデラウェア州、ニュージャージー州、ペンシルベニア州(東部地区/中部地区/西部地区)、アメリカ領ヴァージン諸島)
例えば、IPO Securities Litigation事件(471 F.3d 224 (2d Cir. 2006))において、第2巡回区控訴裁判所は、連邦地方裁判所はクラスを承認する際に関連する全ての証拠を吟味しなくてはならないと判示した。
第3巡回区控訴裁判所は、Hydrogen Peroxide Antitrust Litigation事件(552 F.3d 305(3d Cir. 2008))において、第2巡回区控訴裁判所と類似の判断をし、連邦地方裁判所が「厳密な分析」をしなかったという理由で、下級審のクラスの承認決定を覆した。
IPO事件決定の前は、例えば、クラスに共通する要素は証明可能であると集団訴訟の原告側専門家が言っていればそれで十分だった。しかし、ここ数年にわたって、高度の審査基準がクラスの承認申立てに適用されてきたことで、原告側弁護士も被告側弁護士も、クラスの承認の段階で、市場の統計的モデルをも含むような複雑な専門家の分析を提出するように背中を押されている。
こうした第2巡回区控訴裁判所と第3巡回区控訴裁判所の決定は、専門家の証人の利用を促進し、さらにクラスの承認段階でのより高度の審査基準は、集団訴訟をより時間と費用のかかるものへと変化させている。