お客様にとってもっとも関心のある知財や独禁法・金融・労使関係などの最新の話題をお届けします。
御社の法務・経営戦略にお役立てください。
-
日本経済新聞にライアン・ゴールドスティンがコメントをさせていただきました。 (11/04/05)
日本経済新聞 法務面(4月4日付)にて、ライアン・ゴールドスティンが東日本大震災の影響を受け、
企業法務の今後の焦点、危機管理になどについて、コメントをさせていただきました。
紙面にて、報告をさせていただいたのは、次の2点です。
1. 震災の影響に直面する企業へのアドバイス
2. 日本企業の国際的な訴訟リスク
紙面では十分にお伝えできなかった部分を補足して、ご報告申し上げます。
1. 震災の影響に直面する企業へのアドバイス
■まずは、契約書の確認を。
契約の定めによっては、リスクが生じる可能性があります。
本震災のような特異な状況下では、契約の履行が免責されることになる場合もあるでしょうが、それは契約の内容によります。
契約において、このような場合の履行の免責を規定する条項は、
「不可抗力」条項と呼ばれ、天災か特異な状況があれば契約の履行が免責されることを定めています。
免責されないことに関して履行を行わないと、契約違反となるリスクがありますので、弁護士と相談してください。
■保険契約の確認も。
会社が契約しているすべての保険の条項をご確認ください。保険内容によっては、
相手に与えた損害を補てんできる可能性があります。商用保険の中には、
特定の条件に当てはまれば、第三者に与えた損害を補てんするものもあります。
■災害による対応の遅延について。
進行中の訴訟において、決定しなければならない事案についての遅延はある程度、
判事の同情を得られますが、だからと言って、判事に現状を報告しないのは、
現状を悪化させる事態に陥ります。判事には想定できることをあらかじめ、報告することが大切です。
決定などを延期できるかどうかは担当弁護士とともに見極め、一日でも早く対応すべきだと考えます。
2. 日本企業の国際的な訴訟リスク
日本の原子力損害賠償法は、原子力損害が発生した場合、
事故で生じた住民に対する補償は、原子力事業者や日本政府が負担することとされています。
しかし、これとは別に、アメリカ企業などから、東京電力、原発事故に関係する企業や、
震災によって契約を履行できなくなった日本企業などが、アメリカで損害賠償を求められる可能性があります。
また、東京電力には、事故に対処している従業員や、関係会社への補償問題が生じる可能性があります。
一例として、アメリカの同時多発テロの際、
救助作業にあたった消防士、従業員、警察官らに賠償金が支払われることが確定しています。
NY世界貿易センタービル周辺で救助活動を行い、
有害物質によって呼吸器系疾患などを患った消防士らは03年以降、
アスベストなど有害物質への対応が不十分だったとして、
ニューヨーク市を相手取って損害賠償請求訴訟を次々と起こしました。
ニューヨークの連邦地裁はこれに対し、和解案を提示。
計6億2500万ドル(約521億円)の賠償金が支払われることが確定。
和解案の発効要件だった原告約1万500人の95%以上の合意が得られました。
賠償金は、米政府が設立した保険基金から拠出されます。
1人当たりの受取額は症状に応じて3250ドル(約27万円)から180万ドル(約1億5000万円)。
ちなみに、タワーにはアメリカが厄介なモノ(ホワイト・エレファント)として
指定した莫大な量のアスベストが存在したといわれています。