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ITCによる、337条に基づく調査におけるEディスカバリーの実務についての修正提案 (12/12/01)
この秋、アメリカ国際貿易委員会(the U.S. International Trade Commission) (委員会)は、337条に基づく調査におけるディスカバリーを規律するルールの変更を提案した。提案された変更の主目的は、電子的に蓄積された情報に対するディスカバリー(Eディスカバリー)に対する制限を設け、337条に基づく調査の効率性を増加させることにある。77 Fed. Reg. 60953-56 (Oct. 5, 2012)参照。現行のルールは、Eディスカバリーについて地方裁判所で見られるような制限の多くを欠いており、337条に基づく調査におけるディスカバリーを不必要に複雑かつ費用がかかるものにしていた。委員会の行政判事のディスカバリーに対する歴史的に寛容な態度を合わせると特にそうである。委員会は、一部について、2011年に行われたイベントにおいて、実務家から行われたコメントに対応する形で、変更の提案を行った。これらの変更案を提示する際に、委員会は、委員会の行政判事が示した基本的なルールや連邦民事訴訟規則の他に、様々な地方裁判所のEディスカバリーに関する判断基準、連邦控訴裁判所諮問委員会によるEディスカバリー命令のモデルを参照した。
修正案は、委員会規則210.27に関係するものであり、ディスカバリーを規律する基本的な条文が含まれている。提案された(c)項は、連邦民事訴訟規則26条(b) (2) (B)に類似しており、合理的にアクセスできない電子文書及び情報について、当事者がその提出を拒否することを認めている。当事者が過大な負担又は費用を理由に提出要求された文書又は情報に合理的にアクセスすることが困難であることを示すことができた場合、行政判事は要求を行った当事者が要求した文書の提出について合理的な理由をもっているかどうかを判断する。もし、要求を行った当事者がこの基準を満たさなかった場合、ディスカバリー要求を否定したり、特定の条件をディスカバリーに付すことができる。新しい(c)項は、特に、合理的にアクセスすることができない情報に対するディスカバリーについての費用を要求を行った当事者に負担させることができるという選択肢を行政判事に与えている。コスト負担を認めることによって、委員会は、実際にはごくわずかな文書しか証拠記録に残されないにもかかわらず、何百万通もの文書の提出を要求される現状の問題を解決しようとしている。
修正提案された(d)項は、ディスカバリーの対象が重複していたり、より負担の少ない方法で入手できる場合、ディスカバリーを求めている当事者が情報を入手できる十分な機会を有している場合、又はディスカバリーの負担がその便益を上回っている場合には、行政判事がディスカバリーに対して制限を課すことを求めている。77 Fed. Reg. 60954。この修正案は、連邦民事訴訟規則26条(b) (2) (C)に類似している。しかし、連邦民事訴訟規則とは異なり、(d)項は、ディスカバリー要求を受けた当事者が、ディスカバリーに関係する事実を認めたり、法律上の地位を放棄した場合(337条に基づく手続きにおいては頻繁に起こる。)に、行政判事がディスカバリーを制限することを要求している。加えて、この修正案は、委員会によって決定される問題を解決する上で、要求されたディスカバリーが重要かどうかを行政判事が検討することを要求している。
修正提案された(e)項は、秘匿情報及び弁護士ワークプロダクトに関係する放棄の問題を明確化している。また、同項は、プリビレッジログについての統一的な手続きを定めているが、これは、現状では、各調査における主席行政判事の定める個別ルールによって規律されている分野である。(e)項は、さらに、秘匿文書や弁護士ワークプロダクトを開示してしまった場合の結果に関して、連邦民事訴訟規則26条(b) (5)と同様の処理方法を定めることによって、手続きを明確化している。また、迅速な337条に基づく調査と歩調を合わせる形で、秘匿文書に関する争いの解決について特定のデッドラインを定めている。現状では、たとえ填補合意が当事者間で私的に結ばれていた場合でも、委員会の行政判事は、放棄の取り扱いについてそれぞれ異なる対応をしていた。
委員会は、2012年10月5日に、規則改正の通知を発表し、2012年12月4日まで改正についてのパブリックコメントを受け付けている。規則は、まだ施行されておらず、委員会がパブリックコメントを検討し、規則施行日の少なくとも30日前までに最終的な規則修正案を公表することになる。
クイン・エマニュエル・アークハート・サリバン
外国法事務弁護士事務所
東京オフィス代表 ライアン・ゴールドスティン
この件につきましてのお問い合わせ先
マーケティング・ディレクター 外川智恵(とがわちえ)
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