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欧州議会が欧州統一特許及び統一特許裁判所を承認 (13/02/01)
2012年10月11日、欧州議会は、完全に施行されれば、選択的な統一特許、及び欧州の全特許権に関する訴訟を処理する統一特許裁判所の両方を創出することになる、新しい特許制度を承認した。理論的には、統一特許という選択肢は、25カ国のEU諸国において、特許権の保護を受けるプロセスを効率化し、関連費用及び翻訳費用を減少させることになるだろう。
一連のEU規則が施行されると(早ければ2014年の可能性)、特許権者は、欧州特許局によって付与される、25カ国のEU諸国全域で統一的な効力のある新しい特許権を要求できることになる。統一特許権の申請は、英語、ドイツ語、又はフランス語で行わなければならず、人の手による他の言語への翻訳は要求されない(自動化された機械翻訳が提出される可能性がある)。統一特許権は、国内の特許権、及びスペイン、イタリア、スイス、トルコ、ノルウェイ、アイスランドといったEU非参加国において特許の保護を受けるために依然として利用可能な従前の欧州特許権と並存することが予定されている。
フランス、ドイツ及びイギリスを含む少なくとも13のEU参加国によって承認された、統一特許裁判所に関する条約は、侵害、特許無効、差止を含むすべての欧州の特許権に関する訴訟について排他的な裁判管轄を持つ統一特許裁判所を創設する。統一特許裁判所は、専門化した控訴裁判所をルクセンブルクに持つとともに、一連の専門化した第一審トライアル裁判所を持つ。トライアル裁判所の中央部門は、少なくともパリ、ミュンヘン及びロンドンに位置し、その他の地方部門は、参加国それぞれにつき一地区に設置される(いくつかの参加国は、地方部門を共有する予定である)。ただし、ドイツは、少なくとも三つの地方部門(デュッセルドルフ、マンハイム、ミュンヘン、さらにハンブルクも可能性あり)を持つ。それぞれのトライアル裁判所は、国際的に編成された裁判官団によって監督され、トライアル裁判所の各部門は、参加国全域で効力を有する救済策(もしくは欧州の特許権に同意した指定国全域において効力を有する場合もあり、その場合は、EUの範囲を超える可能性がある)を発することができる。原告は、侵害行為が行われている、いずれの参加国内の地方部門にも訴訟を提起することができる。
クイン・エマニュエル・アークハート・サリバン
外国法事務弁護士事務所
東京オフィス代表 ライアン・ゴールドスティン
この件につきましてのお問い合わせ先
マーケティング・ディレクター 外川智恵(とがわちえ)
chietogawa@quinnemanuel.com