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重過失は不公正な行為の詐害意思を基礎付けるために不十分 (13/02/01)
連邦巡回区控訴裁判所は、Outside the Box Innovations, LLC v. Travel Caddy, Inc., No. 2009-1171 (Fed. Cir. Sept. 21, 2012)において、不公正な行為に必要とされる詐害意思の程度を明確化した。裁判所は、重過失は、不公正な行為に必要とされる詐害意思の明白かつ説得的な証拠を示すのに不十分であると判示した。
原審裁判所は、不公正な行為を基礎付けるためには、特許局とのやりとりにおいて重要な情報の省略又は虚偽の証拠、及び特許局を騙すという明確な意思を示す明白かつ説得的な証拠が必要であると述べ、特許権者が特許申請中に、親特許権に関する訴訟が存在するという事実を開示しなかったことを不公正な行為とし、二つの特許権の効力を否定した。そのように判示する中で、原審裁判所は、訴訟に関するいかなる重大な事実開示の省略も、見過ごし、誤り又は過失によるものであり、詐害意思の結果ではないという特許権者の主張を否定した。
控訴審において、連邦巡回区控訴裁判所は、原審の決定を破棄し、「しかし、過失は、たとえ重過失であっても、詐害意思を基礎付けるためには不十分である」と判示した。Therasense, Inc. v. Becton, Dickinson & Co., 649 F.3d 1276 (Fed. Cir. 2011) (en banc)における判例を基礎として、この最新の決定は、不公正な行為を証明するための基準をさらに上げ、特許権者の明確な詐害意思の明白かつ説得的な証拠が必要であることを確認するとともに、要求される詐害意思が特許権者の重過失のみから導かれうるという考え方を否定した。
クイン・エマニュエル・アークハート・サリバン
外国法事務弁護士事務所
東京オフィス代表 ライアン・ゴールドスティン
この件につきましてのお問い合わせ先
マーケティング・ディレクター 外川智恵(とがわちえ)
chietogawa@quinnemanuel.com