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ITC訴訟アップデート - 337条調査におけるライセンスをベースとした国内産業の要件についての連邦巡回区控訴裁判所による判断 (13/07/18)
2012年8月、連邦巡回区控訴裁判所は、InterDigital Commc’ns v. Int’l Trade Comm’n, No. 2010-1093において、違反は存在しないというCertain 3G Mobile Handsets and Components Thereof, Inv. No. 337-TA-613における米国国際貿易委員会の判断を破棄し、事件を差し戻す意見を出した。その中で、裁判所は、337条がライセンス活動のみをベースとして「国内産業」の要件が充足されることを許容していないことを理由に、申立人であるInterDigitalが、同要件の存在を示していないという、違反が存在しないとの判断の代替的根拠についても否定した。裁判所は、ライセンス活動を含む様々な手段によって遂行される、主張特許権の利用について、相当な投資を行っていることを基礎として、国内産業が存在すれば、19 U.S.C. Section 1337(a)(3)(C)の要件は充足されると判示した。
相手方は、InterDigitalの特許ライセンス活動が、19 U.S.C. Sections 1337(a)(2)及び1337(a)(3)に基づく国内産業の要件を満たすかどうかという問題について、裁判官全員の再審理及び裁判体の再審理の両方を申請した。裁判所は、裁判官全員による再審理を拒否し、2013年1月10日、2対1の決定で、裁判体の再審理の申請についても否定した。Bryson裁判官による意見は、文言解釈及び立法過程に依拠し、相手方及び反対意見を否定するものであり、ライセンス活動によってInterDigitalは国内産業の要件を満たしていると結論した。
相手方の申請は、InterDigitalがライセンス活動への相当な投資を行っていたかどうかについては、問題としていない。むしろ、相手方は、裁判体及び委員会が、337(a)(2)及び337(a)(3)における、「特許権によって保護される製品に関係して」及び「特許権によって保護される製品に関連して」という文言の解釈を誤ったと主張した。特に、相手方は、これらの文言が、主張されているいかなるライセンス活動も、「有形の製品に縛られていなければならない」ことを要求するものであると主張した。
相手方の申請を否定する中で、裁判所は、法律の文言、及び337(a)(3)の「特許権によって保護される製品に関連して」の意味を分析した。裁判所はまず、337(a)(3)(A)及び(B)に基づく要件は、通常、工場、設備、労働、又は資本に対する投資が、特許権によって保護される製品に費やされていることを示すことによって充足されると説明した。裁判所は、(C)項に同様の分析を行うと、「技術、研究、及び開発、又はライセンス活動は、主張特許権によって保護される製品に関連していなければならない」という適切な文言解釈が導かれると述べた。裁判所によれば、この解釈は、「合衆国内に産業が存在するという経済的部分、及び特許権によって保護される製品に関係する産業であるという技術的部分の二つの部分からなる、一般的な国内産業の要件の説明と一致する」ことになる。裁判所は、「InterDigitalの本件における理論によれば、訴訟における特許権は、同社がライセンスを行ったり、排除を試みたりしている製品に見いだすことができる技術を保護するものであるから」、337(a)(3)(C)に基づいて、InterDigitalは、国内産業の要件を満たすことができると結論した。
Newman裁判官は、明確な反対意見の中で、「多数意見は文言解釈及び法律の目的から離れ」、法律の理解において「誤解をし続ける」ものであると述べた。国内における製造を要求することによって、国内産業の要件の厳格な解釈を提案する中で、Newman裁判官は、(a)(3)(C)項を追加した337条に対する1998年改正が、「特許製品の国内での製造を促し、支持するために立法化」されたことは明確であると述べた。さらに、Newman裁判官は、多数意見の解釈は、特許によって保護された製品の国内での製造又は製造準備を要求する、裁判所の先例の見解と相反するものであると述べた。
2013年5月10日、相手方は、「337条の国内産業の要件が、特許権によって保護された製品の立証を欠くにも拘らず、ライセンス活動のみによって充足されるかどうか」という問題について、合衆国最高裁判所の判断を求める、裁量上告の申立てを行った。
クイン・エマニュエル・アークハート・サリバン
外国法事務弁護士事務所
東京オフィス代表 ライアン・ゴールドスティン
この件につきましてのお問い合わせ先
マーケティング・ディレクター 外川智恵(とがわちえ)
chietogawa@quinnemanuel.com