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EU競争法:私的執行のより多くの機会をもたらす最新の展開 (15/06/01)
EUにおける競争法の私的執行は止まることのない上昇を続けおり、また、原告となる機会はたくさんあるのが現状である。小規模、または中規模のヨーロッパでのビジネスは、製品や役務(サービス)のすべての範囲に関する開始手続において大会社と繋がっている。侵害決定という、手続に沿った流れの結果は、国家裁判所において、多くの場合実質的損害を主張し、そして自身の権利を強く請求するこのような侵害によって損害を被った私的当事者に対する有力な攻撃材料をもたらす。また、国の競争当局と同じように欧州委員会は、欧州連合競争法違反の捜査や起訴することに対してより大きな意欲を示している。国家裁判所自体は、これらの主張の過程においてますます洗練されていくだろう。そして、競争法損害賠償訴訟において委員会がごく最近下した命令は、原告の権利をさらに強いものとし、EUにおける私的執行のための各国のシステムを改善させ、このような請求がいとも簡単に起訴され、成功させることになるであろう。
その命令は、欧州委員会と国の競争当局による競争法の公的執行と個人や企業による私的執行の繋がりを強くしたいという政策を反映する。後者は「後続型」の損害賠償訴訟(欧州連合競争法侵害の犠牲者に、精神的損害を含む損害を補償すること)を含む。私的な「後続型」民事訴訟はEU圏内で一定の増加をみせている。特に、イギリス、ドイツ、オランダは、今頻繁に比較的未知の法領域における法廷闘争を引き起こす数百万ユーロ規模の訴訟の開催地となっている。法律、経済、そして政治、全ての方向において、私的執行を発展させる推進力は、速度を増し続けるだろうと示唆している。2014年1月13日に委員会が発行した競争政策の要約によると、カルテルによって年間230億ユーロもの私的執行によって回復されるべき損害が出ている。EU内の商業的な全てのビジネスは、その問題や、今生じている(損害回復の)好機に注目すべきである。
公的執行
欧州連合競争法において、委員会と国の競争当局は、カルテルと、自由競争を妨げたり国内の地位を濫用したりすることを可能にしたその他の合意をそれぞれ禁ずるEU機能条約の101条102条違反を調査し、制裁措置をとることができる。関係のある競争当局による執行は、EU圏内で施行された競争法による一次体系であるままだ。その制裁措置(行動の改善や罰金の要件を含む)は実行することができる上に、益々重要なものになっている。例えば、2013年12月、委員会は8つの国際的な金融機関に金融派生産業の利率についてのカルテルに参加したとして、総額17億ユーロの罰金を科した。また2014年3月には、車やトラックのベアリングの生産者にカルテルを行ったとして9億5300万ユーロの罰金を科した。
私的な執行
CourageとManfrediを含むよく知られた訴訟において、欧州司法裁判所は競争法違反で損害を被った個人と企業の競争する権利を認めた。国の実体法または手続法(証拠開示、時効、立証責任、因果関係、少額損賠を含む)に従って管轄を有する国家裁判所において、欧州連合競争法または/もしくは国の競争法侵害の結果、損害を被った者または事業は、損害賠償もしくはその他の救済措置(例えば、差止め救済措置や宣言)について請求することができる。請求は「単独型」もしくは「後続型」を基本に起訴される。
単独型訴訟において、優先される競争当局の競争法違反についての決定はない。なぜなら、原告は裁判所に対して、起こった競争法違反とその違反の結果生じた損害の両方を証明しなければならないからである。けれども、後続型訴訟において、私的執行は競争当局がすでに捜査を終え、競争法違反があったという決定を下した後で起こる。後続型訴訟は原告が民事請求において責任を立証する侵害の証明として、その決定に依拠することができるという点で、独特である。多くの後続型訴訟において、原告はその違反の結果と損害額を踏まえた損害を証明する必要があるだけである。後続型請求で得られる損害賠償は競争当局によって課せられた罰金と同じくらい高額である。
競争損害訴訟におけるEUの方向性
競争法の私的執行は、ヨーロッパの法曹界においてますます重要な特徴となる。また、それは補完としての役割を担うことを意味する。加えて、反競争的行為に対する抑止力となる。特に、後続型の損害賠償請求は私的執行の面で重要だ。なぜなら、反競争的行為の結果被った損害を補填したい原告にとってそれらは強力で比較的低いリスクの道をもたらすからである。かなり多くのこのような請求がEU圏内の様々な国家裁判所に提起され、訴訟件数が増加し続けている一方、利用可能な手続に精通しておらず、この分野でまだ発展途上の法学が伴っていた場合、相対的にほとんどの企業が権利を与えられているはずの補償を求めることができないという結果になる。EU加盟国の間では、規則の違いもまた影響を与えている。
2014年11月10日、このような問題について言及するため、欧州連合理事会は、競争損害訴訟についての欧州委員会が提案した指令を採択した。この指令は、より効果的な欧州競争法の全体的な施行を達成するために、そして特にもし彼らが欧州競争法侵害の結果損害を被ったのならば、原告が直面した特定の実務的な障害を前もって軽減することによって個人や企業の損害賠償請求を助けるという目的で作られた。特に、その指令は、原告が損害の証明をし、推定損害を示すために必要な証拠を出しやすいようにすること、そして請求を提起するためのより多くの時間を与えることを意図している。EU加盟国は2年以内にこの指令を国内で実行しなければならない。
指令-重要な条項
その指令は競争法侵害によって損害を被ったいかなる者も完全に補償を受ける権利があると示す。それは、損害を被った当事者は、犯されていない競争法の侵害があるという立場に置かれなければならないことを意味する。それは実際の損害と利益の損害、加えて株式の補償の権利である。完全に補償するという法原則は合理的で率直な考えではあるけれども、競争法侵害の結果の損害の計算は複雑な問題であるし、あらゆる損害賠償請求でかなり議論となっている。
その指令はさらに、カルテル侵害で損害を起こした、90パーセント以上のカルテルが価格上昇という結果になったという経済的証拠推定を課す。これは、競争法侵害の結果損害を被ったという推定を反論する立証責任を被告にまともに負わせるという、従来の立場を覆すものである。この損害推定もまた、直接的購入者から間接的購入者までの損失の「転嫁」の反証可能な推定を提供する指令と共に、間接的な購入者に適用される。加えて、もし、原告が被った損害が立証されたが利用可能な証拠を根拠に被った損害を量るのが過度に難しいもしくは実際には不可能ならば、その指令は、損害の大きさ(言い換えれば、損害額)を推定するために国家の手続に従って国家裁判所に権利を与える。この点の補足は、国家の競争当局からもまた求められるはずだ。
その上、その指令は、国家の競争当局、再審裁判所もしくは欧州委員会の終局的な決定によって判断される競争法侵害がTFEUの101条や102条もしくは国家の競争法を下に国家裁判所に損害賠償請求を提起した私的行為の目的を明白に立証しているのだと考える。この重要な考えは、すでに多くの加盟国(ドイツとイギリスを含む)での地位を反映している。競争当局の終局的な決定が、被告の責任を証明する目的で同じ加盟国の裁判所を拘束することを根拠に侵害された当事者がEU国家裁判所に訴訟を提起する権利を有することを正式に記す。加盟国の裁判所では、その決定は侵害の推定的証拠となるだろう。これは、原告に、どこに訴訟を提起するかという管轄に関する大きな選択肢を与える。
その指令はまた、私的請求の行為においても被告や第三者や関係する競争当局から、かなりの範囲で、より容易に受け入れられる書類開示についての道を開く。けれども、制限は課される。例えば、均整の要件や、競争当局がその手続を終えるまで(もしくは、永続的に、問題の証拠が減免陳述や合意書の提出に関係していた場合に)規則の執行手続の側面を保護するため、である。
その指令はさらに、損害賠償請求期限の期間は少なくとも5年で、侵害が停止される前、原告が知る前、もしくは侵害について知り得たと合理的に予見できる前に始まるべきではないと示す。加えて、もし競争当局が損害賠償に関する私的行為の競争法違反についての捜査や手続を目的に行動を起こしたら、訴訟期間を一時中断するという要件がある。また、差止めは、競争当局による侵害決定が最終的に下った後、もしくは手続が別の方法で終結した後、早くても1年以内に終わらせるべきである。総合すれば、これらの強化された権利は、特に請求が例えば委員会などの関連する競争当局の終局的な侵害決定から生じたものであった場合、EU圏内の国家裁判所に効果的に、かなり首尾よく欧州競争法侵害の私的請求を提起する、原告の権利をかなり強固なものにするだろう。
国内法の発展との一致
加盟国がそれぞれ指令を国内化するまで、現在の国内法や裁判例が、私的な損害賠償請求における個人の権利を決定し続ける。EU法域での多くの立法者がすでに競争法侵害の民事請求についての(そして特に後続型損害賠償請求についての)確固たる枠組みを提供する法を制定している。
競争法損害賠償請求を促進するための委員会による最近の活動によって、後続型民事訴訟の事案が非常に増加している。ドイツ、イギリス、オランダでの2~3の重要な近時の注目点は、どのようにして国家裁判所が私的行為に関する法律を発展させ続けるかということである。例えば、ドイツでは修正された競争の抑制についてのドイツ法(以下、GWBとする。)は弁護士や捜査官が請求するのを容易にするというドイツにおける私的執行を強固なものにした。同じように、イギリスの企業法2002では、私的な競争法請求を決定したり、専門家が裁判で審問することを可能にしたり、競争法違反の損害賠償請求する権利を明示的に認めることによって、競争法請求をしやすくしている。ヨーロッパの他の国でも発展が続いている。
ドイツ
ドイツの競争法はすでに実体的に指令を強行規定としている。GWB33条において、競争法違反の犠牲となった者は完全な補償を受ける権利があると規定されている。国家法または欧州競争法侵害は損害賠償請求ために重要な必要条件である。例えば、委員会、ドイツ連邦カルテル局、他のEU加盟国の競争当局による終局判断は法的にドイツの国家裁判所を拘束する。その上、侵害した者は、故意または過失によって競争法を侵害していなくてはならず、損害の請求は侵害した者(故意または過失)の反競争的行為によって起きたものでなければならない。
GWB33条は、個人または管理者の個人的な責任は、非常に議論を巻き起こす問題がある事業に対して、唯一適用可能である。しかし、Dornbracht v. reuter.de訴訟では、ドイツ連邦最高裁判所は、ドイツ民法830条の2項に従って、最低限CEOは反競争的行為に参加もしくは扇動した者として、個人的に責任があると判断を下した。最新の例では、Deutsche Bahnの貨物会社が、エアカナダ、エアフランス、KLM、ブリティッシュエアライン、キャセイパシフィック、ルフトハンザ、カンタス航空などを含む13の航空会社から12億ユーロ以上の潜在的な損害賠償を求めてケルン地方裁判所に後続型手続を提起した。この請求は、委員会の調査と、EU圏内の貨物サービスに影響するカルテルを行ったとして航空貨物会社におよそ総額8億ユーロの罰金を科した2010年の決定から生じている。委員会は、航空会社が6年以上もの間、空輸価格をつり上げるために共謀したと判断した。
イギリス
イギリスは後続型競争法訴訟の裁判地として有名である、なぜならそれは原告に好意的な、補償を求める手続き的方法を提供するからである、そしてその方法はヨーロッパ共同体指令により定められる強行権をも上回るものである。更に、イギリスの裁判所はそのような主張に対し管轄権を認める幅広い自由裁量権を持つ。特に、1998年の競争法S. 47Aは被害者たちに、特別な裁判機関である競争控訴裁判所において損害請求訴訟を提起することを許可している。多くの後続型訴訟は、法定義務の侵害である不法行為に関する訴訟のように、英国高等裁判所においても提起されてきたが、その義務というのは、イギリスやヨーロッパ連合の競争法の関連条文を参照して定義されていた。多くの判例はイギリスの裁判所はそのような判例を扱うのに貪欲であり、この分野の訴訟に対しイギリスの管轄を成立させることは比較的簡単だと断言してきた。政府は2014年、1998年の競争法や2002年の事業法を改正するための条項を含む、消費者保護法をもまた導入した、その目的は、競争控訴裁判所をイギリスの民事執行請求訴訟の主要な裁判地として確立させ、原告が訴訟を提起しやすくなるように、というものであった。この消費者保護法は、カルテルされた商品やサービスの、イギリスのすべての購入者を代表した訴訟が提起されることを可能にする集団訴訟制度(アメリカのそれに沿ったものである)のオプトアウトを大きく導くことにもなるであろう。
一つの困難な問題は、私訴の提訴が可能な制限期間であった。1980年の出訴期限法は、訴訟の原因が生じた日から6年以内に手続きが高等裁判所に持ち込まれることを要求しているが、一方、競争法S. 47A.の下では、侵害判決が終局的になる日から2年という制限期間が競争控訴裁判所に持ち込まれる申し立てに適用される。今年のはじめに、最高裁判所は、Deutsche Bahn v Morgan Crucible訴訟において、競争控訴裁判所における、ヨーロッパ共同体を上訴しない非合法なカルテルの当事者に対する申し立ての制限期間は、その判決の日に始まり、他方当事者からのいかなる上訴も欧州連合第一審裁判所や欧州連合司法裁判所によって最終的に決定されることはないと確認した。そのすぐ後に、イギリスの高等裁判所は、Arcadia v Visa訴訟において、原告の申し立ての実質的な部分を否定したのだが、それは1977年にまで遡り、1980年の出訴期限法の下で提訴が遅すぎた、という理由であった。その事例は、いわゆるデビッド・クレジットカード取引に課される「多国間(売上)交換手数料」に関するもので、原告(イギリスの巨大小売り業のグループ企業)は非合法的に競争を制限されより高い価格に導かれたと主張した。関連して、多くのカルテルと非同様に、これらの議論は秘匿でなかった。裁判所は小売業者が主張を弁護するのに十分な適切な情報を所有しているとしたのだが、その情報というのは、少なくとも2006年以前から、判決文の中で利用可能であったわけだが、委員会やイギリス競争当局によって出された、これらの手数料に関連する各自の調査に関する報告・報道向け告知であった。これは請求された損害賠償額を約5億も減額した。
これらの判決の効果は、競争控訴裁判所の制限期間を、高等裁判所のために6年の制限期間に調整する消費者保護法によって希薄になる。議論の余地はあるとしても、それは、(少なくとも5年間の)制限期間が、競争当局が侵害に関して調査を開始する時から少なくとも侵害判決が終局的なものになった少なくとも1年後にまで延長されるように規定する欧州共同体指令によって更に希薄化する。興味深いことに、Arcadia訴訟の裁判所は、次の指令について検討し、それと一致した考えをとることを拒否した、その理由は、欧州共同体指令そのものが、影響を受けない(指令を施行させる国内立法に先立って提訴された)申立を生み出すからである。
欧州共同体指令がイギリスにおいて施行されるまで、Arcadia訴訟は良い判例法であった。多くのカルテルが秘匿であるとすると、他の係争中の訴訟へのその影響は残ったままであるようだし、多くの原告が制限期間の開始を引き起こすために必要な知識を持つようになったのは競争当局の調査が完了してからであった。しかし、Arcadia訴訟は、2007年の委員会判決の後続型訴訟として提訴され、MasterCardのデビット及びクレジットカード取引に課された交換手数料は非合法的に競争を阻害し高値に導くとした、英国小売業者MasterCardとVisa間の数多くの関連訴訟に、多くの影響を与えてきた。委員会の判決は2014年9月11日に欧州連合司法裁判所によって確定された。
数多くの(その中の多くは世界企業としてよく知られていたのであるが、)運送業者を巻き込んだ、もう1つの議論すべき訴訟においては、運送業者たちはBritish Airwaysを含む航空貨物業者カルテルに損害賠償を求めた(Emerald Supplies v British Airways)。訴訟は一部、競争法違反として11の航空業者に総額7億9900万円の罰金を科した2007年の委員会判決の後続型訴訟であった。委員会は、運送業者が貨物の価格に関し非合法的な合意を形成したとした。それらの後続型申立に加え、原告は、航空業者が原告らを不法に害するよう「不当な方法で」共謀したとする新たな申立を提起し、委員会判決の公開を求めた。この「不当な方法」というのは、「海外における不当な方法」を含むもので、つまり、海外の競争法違反と海外法の下における詐欺行為について触れていた。この不法な方法という不法行為の損害賠償請求を提訴することで、原告は、海外の競争法違反に基づいて海外の会社の損害賠償について検討するイギリス裁判所の管轄の拡張を求めていた。British Airwaysは、裁判所に、これらの広すぎる「共謀(に基づく)請求」を否定し英国法への訴訟を制限するよう求めた。10月、異なる二つの申し立てにおいて、裁判所は、簡易判決の適用によりこの議論を扱うのは適切でないとして、British Airwaysの要求は時期尚早であるとした。同じ日に下された他の判決では、British Airwaysによる委員会判決の証拠開示請求を認めたのであるが、それは判決の全文を対象に、しかも一切の改定を許さないもので、数多くない弁護士らを含む厳格な「秘匿の輪」を壊すものであった。この裁定は委員会が判決を下してから約7年後という状況で出され、当時利用可能な判決の公的公開はなかった。これは、公的公開が利用可能になる前に裁判所が委員会判決の開示を求めた一番初めの訴訟であり、判決の改定を一切認めない公開を求めたのも初めてであった。航空業者らは後者の裁定に対し上訴し、このような秘匿物に関する原告の権利に関し、減免材料も含め、しきりに、上訴裁判所の判決が予想されている。
オランダ
大変議論のある判例なのであるが、Arnhem-Leeuwardenの上訴裁判所は、オランダ法下における損害転嫁防衛の利用可能性を認める判決を2014年9月2日に下した(TenneT v ABB)、これは、例えば、原告の顧客への価格調整などを通して損害が転嫁されたとして、原告自身には損害が生じていないと被告が主張しているものである。この点に関する判例は、フランスやドイツと言った他の裁判地ではすでに存在していたのであるが、この判決は、オランダにおいては初めての権威のある判決となった。
未来には何が待っているだろうか?
競争法の私的執行は何年か前にヨーロッパに導入され、企業にとって、非常に実質的な損害を取り返すために容易に利用することができる好機として、今では活発に利用されている。欧州共同体指令は、競争法侵害の犠牲者に、侵害者に対し私的損害賠償請求を提起する非常に強力な議論の場を与えるという方法で、ヨーロッパの競争法をさらに強めた。しかしながら、この分野における究極の私的執行、つまり、集団訴訟は、未だ欧州連合の向こう側でしか決定されていないが、一方で、2015年の終わりには施行されているであろう集団的訴訟制度のオプトアウトの導入によって、この分野を引っ張って行っているのはイギリスなのである。
競争法の分野における集団訴訟は、委員会の明白な協議事項である。委員会は2005年から集団的補償体系について協議してきた。2012年2月2日、欧州議会は「集団的補償に対するヨーロッパの一貫的アプローチ」への解決案を採用した。2013年の委員会勧告において、委員会は、遅くとも2015年6月15日までにその集団的補償原則を履行することを求めた。その勧告に法的拘束力はないものの、委員会は、その勧告が、参加国における集団的補償法の地位と、2017年7月までに適切な提案がさらになされているかどうかを、評価するものになるであろうと示している。この充実した協議事項は、(会議の)オブザーバーが現行の勧告が単なる中間段階であると考えるのを導くであろう。きっと、更に影響の大きな法制定がこの後に続くのである。
クイン・エマニュエル・アークハート・サリバン
外国法事務弁護士事務所
東京オフィス代表 ライアン・ゴールドスティン
この件につきましてのお問い合わせ先
マーケティング・ディレクター 外川智恵(とがわちえ)
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