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規則9(b)下におけるコモン・ロー詐欺の訴答:相反する巡回裁判所の解釈 (16/05/15)
コモン・ロー詐欺申立ての訴答における基準は連邦民事規則9(b)に記載されている。この規則では“主張の詐欺または誤りにおいて、当事者は該当する詐欺または誤りの発端となる状況について提言しなければならない”としている。しかし“悪意、故意、知識、また人の思惑に関わるような状態は不確かなものである。”従って、次の文章は二つの別個たる規則を説明している:(i)特定の要素に限って詐欺または誤りに関する訴答への特別な条件が存在する;しかし、(ii)故意に関しては“一般の”申立てを通じてのみ行われなければならない。
平易な言葉遣いを用いてはいるが、実際にコモン・ロー詐欺に関する申立てで故意の行為を訴答するに必要な司法的解釈は多岐に渡る。私募証券訴訟改革法(“PSLRA”)が故意の行為を訴答する際求められる“確かな推論”という文面が、連邦証券詐欺制定法下の請求のみを意図して追加されて以来、その複雑さは増している。規則9(b)の故意の行為に関する条件の“正しい”解釈を求めるには、最高裁がIqbal及びTwombly事件下の規則8に関する基本的な訴答の条件に取り組み始めてから、規則9(b)の故意の行為に関する条件の“正しい”解釈を求めるのは困難となり、“一般的な”訴答とはそもそも何を意味するのかが論点となった。
規則(b)における故意の行為を訴答:最高裁の干渉が求められる
規則9(b)2行目は至ってシンプルである:“悪意、故意、知識、また人の思惑に関わるような状態は不確かなものである。”F.R.C.P.9(b)。しかしこの条項の解釈は法規則を更に複雑なものとし、同様の訴答が、原告が申立てを行う巡回裁判所によって完全に異なる対応をされているのである。最高裁による干渉の機が熟したと判断するには二つの理由が存在する。まず、第二巡回裁判所がその他の裁判所とは異なる基準(“確かな推論”)を適用する場合に明確な裁判所の分裂が見られる。次に、その他の巡回裁判所では新たな規則8下の条件“妥当性”と規則9(b)の“一般的な”言語が統一調和されていないことが挙げられる。
1. 第二巡回裁判所の基準となる“確かな推論”について
第二巡回裁判所は規則9(b)は詐欺に関する告訴時において、被告に必要精神状態があるとい事実を後ろ盾無く主張し、“確かな推論”に導くと判断。IKB Int’l S.A. v. Bank of Am. Corp., 584 F. App’x 26, 27 (2d Cir. 2014)を参照(“我々は幾度と無く原告に詐欺目的への確かな推論を生じさせる事実の根拠を訴答するよう要求した”)。滅多には起こらないがそうした事柄に言及する場合、第二巡回裁判所はこの要求を被告の世間体に悪影響となり得る根拠のない詐欺申立て(嫌がらせ訴訟とも呼ばれる)を防ぐと見なし、正当化した。Ross v. A.H. Robins Co., 607 F.2d 545, 558 (2d Cir. 1979)を参照。(故意の行為に対しての”原告による訴答を要求することは妥当である”為確かな推論の検証を確立させる);O’Brien v. Nat’l Property Analysts Partners, 936 F.2d 674, 676 (2d Cir. 1991)も参照のこと。
嫌がらせ訴訟を防ぐ目的は崇高な大義とも受け取れるが、この“確かな推論”における条件を採用しているのは第二巡回裁判所のみである。その他の裁判所では規則9(b)の残る条項において原告が故意の行為を訴答する際に圧力をかけることなく、被告に対し既に充分な保護を与えていると判断した。とりわけ、規則9(b)前半では原告が不正確な申立てがいつ、誰によって、どのように行われたか陳述するよう要求することで被告に必要となるツールを与えている。更にIqbal/Twombly事件後の規則8においては“嫌がらせ訴訟”に対する強力なツールともなる。
基本的にはその他の裁判所では(“一般的”)という言い回しがこれとは表面的に矛盾する(“確かな推論”)で代用するに至らないと判断しており、よって第二巡回裁判所に倣うことは無かった。第9巡回裁判所はこの理由の為に第二巡回裁判所を直接批判している。In re GlenFed, Inc. Securities Litig., 42 F.3d 1541, 1546-47 (9th Cir. 1994)(他方では一新されている)(“[確かな推論]の検証が[‘嫌がらせ訴訟’を阻止する]効果があるか否かは別である。我々は単にもたらされる特定の効果が好ましいからと言って、規則9(b)に新たな条件を追加する権限を持ち合わせていない。”)を参照。
規則を正しく保持するにあたって、議会がPSLRAを可決して以来その困難は増していることを強調している。1995年に制定されたPSLRAは連邦証券詐欺申立て時に欺罔の意図に関する条件を明白に増大し、“告訴が…特に被告が必要精神状態で行為に至ったという確かな推論を生じさせると提言していることを”要求している。15 U.S.C. § 78u-4(b)(2) (2006)。Tellabs, Inc. v. Makor Issues & Rights., 551 U.S. 308 (2007)では最高裁はPSLRAの“確かな推論”を幅広い平衡検証が必要という意味であると解釈した:”我々が思うに、もし妥当な人物が欺罔の意図を適切と推論し、また申し立てられた事実から導き出せるいかなる対立の推論同様、最低限のセット効力があれば告訴を持続させることが出来るだろう。” Id. 324。要するに、今やPSLRA下で申し立てられた告訴の“確かな推論”における全国的な解釈が存在するのである。
しかし、Tellabs事件が連邦証券詐欺制定法下の訴答申立基準への一貫性をもたらしたには変わりないが、結局その他の詐欺分野における訴答をより複雑化している。 同様の証券における同様の告訴で挙げられたコモン・ロー申立てを含む、その他如何なる申立ての訴答規則を書き換える意図が議会に無かったのは明らかだ。Frank v. Dana Corp., 547 F.3d 564, 570 (6th Cir. 2008)(“PSLRAが証券詐欺事件において欺罔の意図を申し立てる際により’厳しい訴答条件’を課す”)を参照。議会には、確かな推論が何を意味するかを断定した第二巡回裁判所の判例法を成文化する意図も無かった。H.R. Conf. Rep. 104-369, 740内 (1995)を参照。
これによりあらゆる問題が生じている。第二巡回裁判所の管轄内において、裁判所は告訴のコモン・ロー分野の為に一つの“確かな推論”の検証と、同様の告訴における連邦制定法分野の為により高度とされる“確かな推論”の検証を適用することが求められている。裁判所が忠実且つ一貫してこれら二つの異なる“確かな推論”の基準を規則9(b)内の“一般的に断言可能な”という文章の意味を模索している状態で適用出来るかは定かではない。JBCHoldings NY, LLC v. Pakter, 931 F. Supp. 2d 514, 533 n. 15 (S.D.N.Y. 2013)(“Tellabs事件における規則9 (b) 下の一般的な訴答条件では無く、米国民事訴訟改革法における’確かな推論’の条件を解釈したことは無意味である…しかし、この巡回裁判所の管轄内に一する無数の地区裁判所がコモン・ロー及び詐欺法にTellabs事件の体制を適用しているのである。”。
何より、ニューヨークで取り扱われている証券詐欺事件数の多さが故に混乱した先行の判例数によって訴訟者及び第二巡回裁判所の管轄外でも問題を起こす可能性が生じる。その他の裁判所ではなぜ第二巡回裁判所による却下が申立てに不適当である基準の訴答を行った結果であり、また第二巡回裁判所が可決より遥か前より紛らわしい文言を使用していたにも関わらずPSRLAがコモン・ロー申立てとは無関係であることを完全には理解出来ないだろう。The Prudential Ins. Co. of Am. v. Bank of America, N.A., 14 F. Supp. 3d 591, 599 (D.N.J. Apr. 17, 2014)(PSLRAに先立ち異なる“確かな推論”基準を適用した第二巡回裁判所の事例を引用した連邦制定告訴に関わる第三巡回裁判所の読みに基づいたコモン・ローにおける詐欺申立てにおける“確かな推論”の訴答基準を適用)。
2. “一般的な”訴答においても様々なアプローチ方法が存在
第二巡回裁判所とその他全ての巡回裁判所における分裂を除いて、規則9(b)に関して最高裁の関与が必要となる理由がもう一つ存在する:裁判所は最近一新された規則8を考慮した欺罔の行為を“一般的に”訴答するという意味を理解出来ずにいるのである。
Bell Atl. Corp. v. Twombly, 550 U.S. 544 (2007)で最高裁が“’緩和の権利’における‘譲歩’を行う原告の義務はレッテルや結論以上のものが求められ、訴因要素を型通りに詳述することは解決と認められない[。]” Id. 555内。裁判所は“訴答段階においての度合いの要求を課す”つもりは無く、実際は“合意を暗示する妥当な根拠を求めていた”と主張。Id. 556内。それから2年後、最高裁はAshcroft v. Iqbal, 556 U.S. 662 (2009)事件にて再度一般的な訴答基準について言及した。裁判所はTwombly事件における妥当性の基準が“事実に基づく主張の詳細”は必要としていないものの、“簡素な、‘原告が違法に自分に損害を与えた’という主張だけでは足りない…告訴は被告が自身の違法とされる行為について責任があると裁判所が合理的に推測出来る事実的根拠を持って訴答する場合にのみ妥当と言える。” Id. 677-78内。
もし規則8の”妥当性”における条件が規則9(b)後半に勝る場合、“一般的に”訴答するということはIqbal/Twombly下におけるその他全て同様、欺罔の行為が“妥当に”訴答されなければならないことになる。この 規則9(b)後半の(精神状態は“一般的に推測し得る”)が精神状態の訴答に掛かる負担が通常原告側に課せられる以上のものとならないことを保証する為であり、規則9(b)前半の(“状況”は“特殊性”を持って訴答されなければならない)という規定を対象とする為、明確な文章を持って必要とされている。
第一、第三、第五、第六、第七、第八、及び連邦巡回裁判所は ‘一般的とは妥当を意味する’アプローチに類似した方法を進めている。これは意図の有無に関わらず、第二巡回裁判所の“確かな推論”における結論には遥か及ばずにいる
ものの、Iqbal/Twombly後の二つの規則を調和したとも見受けられる。Schatz v. Republican State Leadership Comm., 669 F.3d 50, 58 (1st Cir. 2012) (“しかし、妥当な[ ]申立てを行うには…原告は [欺罔の行為]が合理的に推測されるに充分な事実を提示しなければならない。”); Faistl v. Energy Plus Holdings, LLC, 2012 WL 3835815, at *4 (D.N.J. Sept. 4, 2012) (“原告はこの裁判所がどの被告もが自身の陳情がそれぞれ誤りであったと把握しているという合理的な推測を行う為に必要なあらゆる事実の訴答に失敗した”);Flaherty & Crumrine Preferred Income Fund, Inc. v. TXU Corp., 565 F.3d 200, 213 (5th Cir. 2009) (欺罔の行為を“推測する後ろ盾”となる事実を要求); Heinrich v. Waiting Angels Adoption Servs., Inc., 668 F.3d 393, 406 (6th Cir. 2012) (“裁判所は一貫して原告の[欺罔の行為]における一般的な陳述が不十分であると判断している…但し、申立てが合理的な特定事実を提示する場合はこの限りではない[。]”); Tricontinental Indus., Ltd. v. PricewaterhouseCoopers, LLP, 475 F.3d 824, 833 (7th Cir. 2007) (“精神状態は一般的に規則9(b)下において訴答が認められる;但し、申立ては原告が欺罔の行為の証明が提供されなければならない。”); In re K-tel Int’l, Inc. Sec. Litig., 300 F.3d 881, 894 (8th Cir. 2002); Exergen Corp. v. Wal-Mart Stores, Inc., 575 F.3d 1312, 1327 (Fed. Cir. 2009).
一方で、それでも規則9(b)の歴史や文章を歪曲するものであるとの主張も予想できる。このような見解では規則9(b)2行目の文章は規則9(b)1行目の単なる切り出しでは無く、承知の上で行為が行われたという陳述以上のことを行う条件を明白に否定しているのである。立法経緯はこの見解を支持している。諮問委員会の記録によれば規則9(b)は1937年の英国施行規則内の規則22から引き出されたことを示している。英国規則は知識が推測された事実を断言すること無くその知識が主張される可能性を指摘している:”悪意、詐欺の意図、知識、あるいはその他如何なる人物の精神状態の推定が重要となる場合、同様の状態が推定される状況を提示することなく事実として推定するに十分である” The Annual Practice, Order 19, Rule 22 (1937)を参照。
“一般的”とは欺罔の行為が、存在したと陳述するだけで推論出来る意味合いを持つという見解を支持する巡回裁判所の判例(殆どがIqbal/Twombly前であるが)が存在する。第9及び第10巡回裁判所は歴史的にこの立場を保持しており、原告が“規則が提言するように一般的に欺罔の行為を証言出来る。言わば、単純に欺罔の行為が存在したと申し立てれば良いのである。” In re GlenFed, 42 F.3d at 1546-47; Schwartz v. Celestial Seasonings, Inc., 124 F.3d 1246, 1252 (10th Cir. 1997) (同様); 但しUnited States v. Corinthian Colleges, 655 F.3d 984, 997 (9th Cir. 2011) (申立て時の“妥当な提出または推論を支持する”事実の有無を問うか否か)も参照のこと。コロンビア地区第4及び第11巡回裁判所がIqbal/Twombly前に規則9(b)を以下のように解釈した見解に対する支持も見られる。U.S. ex rel. Totten v. Bombardier Corp., 286 F.3d 542, 552 (D.C. Cir. 2002);Harrison v. Westinghouse Savannah River Co., 176 F.3d 776, 784 (4th Cir. 1999) (“規則9(b)第二行が証拠不十分な申立てを認めている。”); Urquilla-Diaz v. Kaplan Univ., 780 F.3d 1039, 1051 (11th Cir. 2015)を参照。
規則9(b)が全ての裁判所にとって明らかに望ましいという最高裁の決定にも関わらず、全ての巡回裁判所がIqbal/Twomblyに倣って規則9(b)及び規則8が相互することを明確化するべきである。
終わりに
総じて、現在連邦裁判所は規則9(b)の正当な解釈において分裂しており、最高裁の関与が切に求められる。裁判官と弁護士は欺罔の行為における申立てが“一般的に”訴答されるべきか、または第二巡回裁判所で長年使用され続けてきた“確かな推論”、あるいはPSRLAによって制定され、Tellabs事件で裁判所が解釈した“確かな推論”に対応するのか、規則がどこまで容認するか明確化が求められる。また、規則9(b)の“一般的”な許容が規則8の“妥当性”における条件と調和させるべきであることを明らかにしなければならない。規則9(b)下での“一般的”な訴答は欺罔の行為がその他の申立ての要素の同様の“妥当”なレベル時にのみ申し立てが認められるのだろうか?あるいは単に、英国法が基盤となる規則9下の事例同様、及び多くの巡回裁判所における事例の期間同様に欺罔の行為が存在すると陳述すれば十分なのだろうか?
規則9(b)があらゆる詐欺関連の民事出願時に影響していることを考慮すれば、原告が特定の巡回裁判所を選んだが故に訴答不十分として却下されることの無いよう、申請にあたっての全国的な基準の確立が非常に重要となる。最高裁がこの分野の法律において一貫性をもたらすまで、全ての弁護士が巡回裁判所による違いを把握しておくことが必要不可欠であると考える。
特許訴訟の最新情報について
地区裁判所は相互会社の公開または売出し発行はAIA下のオン・セール・バーに適用しないと制定。
オン・セール・バーとは特許権の制限で、発明者が自身の発明が特許出願の1年以上前に売却または売出発行された際に特許取得を禁じる制定法上の非特許事由である。議会は“オン・セール”バーを目的とする“売却”が何をもって構成されるのか定義していないものの、裁判所は過去に秘密の売却、または売出発行は既知の発明である場合があり、オン・セール・バー化における特許権を排除すると判断している。Metallizing Eng’g v. Kenyon Bearing, 153 F.2d 516 (2d Cir. 1946) (Hand, J.).を参照のこと。
2011年には米国特許改正法(”AIA”)が35 USC § 102(a)(1)下の既知の発明における分類最後に列挙されたリストの中に “あるいは公開可能な場合”という包括的な文章を付け加えてオン・セール・バーを取り巻く法律用語を変更した。
新規性;既知の発明−以下を除いて特許権利を得ることができる−(1)請求された発明が有効出願日前に特許取得済み、または印刷出版物で記されている、あるいは公用であるか、販売されている、あるいは公開可能な場合;
これらの変更は既知の発明として的確とみなされるにはオン・セール・バーが
売却を“公開可能”とする為に売却または売出発行を要求しており、これによって被告がオン・セール・バーを弁護する際非公開の秘密の売却活動が不可能になることを示唆している。
ニュージャージー州地区裁判所は最近、この改革の効果をHelsinn Healthcare v. Dr. Reddy’s Labs., No. 11-3962, 2016 U.S. Dist. LEXIS 27477 (D.N.J. Mar. 3, 2016)事件で分析した。Helsinn事件では、同じ家族の出である4人の特許者が係争中だった。各特許者はそれぞれが異なる有効出願日を有していたにもかかわらず最初の仮申請日である2003年1月30日を優先権として主張。被告等は4人全ての特許者に対してオン・セール・バーにおける弁護を行い、Helsinnが基準日である2002年1月30日前に第三者を含めて合意に至った事柄について既知の発明であることを断言した。異なる有効出願日を有していた為、特許者の内3人はAIA前のオン・セール・バーが適用され、1人は新AIA後のオン・セール・バーが適用された(AIA後のオン・セール・バーは2013年3月16日以降の有効出願日を有する特許者に適用される)。
裁判所は主張の発明が基準日に“特許準備が完了していた”という証拠が確立しなかった為、Helsinnの合意が既知の発明を無効化していないと判断したものの、“あるいは公開可能な場合”という文章における長い法解釈を行い、AIA下で既知の発明として適格となる為に売却活動を公開可能と条件付けるべきか否かを分析した。
裁判所は公売の証拠のみがAIA下において既知の発明として適格となり得ると考慮し、(i)法構成原理;(ii)USPTOによる公開指標;(iii)AIAの立法経緯;そして(iv)AIAを強調する公共政策の目的において最終判断を行った。
まず、裁判所は法構成の規範の“関連語”である“幾つかの言葉の後に、最初の言葉及びその他の言葉が最後の言葉にも適用し得る条項が続く場合、自然な言語の構成においてその条項が全てに適用されることが求められる”と引用。
次にUSPTOは裁判所が啓蒙的だが拘束力は無いと指摘した指標で、これはAIAが“秘密の売却または使用活動が既知の発明とは認められ無いことを提示している”とし、関連する質問が“売却が…発明を一般公開しているかどうか”に焦点を当てていると見なしている。8 Fed. Reg. 11,062–63 (Feb. 14, 2013)。
また、“異議の無い”AIA委員会報告書を含む立法趣旨では、裁判所曰く、“‘あるいは’という言葉が先行する条項が最後の条項と同質であと明確に記述しており…その全ては発明が‘一般公開が可能である’ことに制限されている”という上院聴聞会での提言も含まれている。(2011年9月8日連邦議会議事録)
最後に、AIAを強調する公共政策の目的に関して裁判所は、新しい条件が特許システムを近代化及び合理化させる上院の目的に相応しいと判断した。
裁判所はこうした原則を事実に適用し、Helsinnの合意が完全に守秘義務の制約下で行われていた非公表の合意だった為、AIA下において売出し中の発明を無効化出来ないと判明。とりわけ注目すべき例としてHelsinnの商品を購買供給する為のMGI協定が挙げられる。裁判所はMGI協定が主張の発明を一般公開しなかったとし、AIA下における公売ではないと判断した。
しかし裁判所はこの“販売”が“将来の商品”における協定だったとしてAIA前のオン・セール・バー下におかれると断定。これにより、AIA前の法律によって規制されていた3人の特許者は潜在的に販売が無効化と判断出来る。よって理論上被告は先に挙げた家族の内3人は無効化出来るものの、4人目に関しては同じ販売活動によってでは無く、いつ特許が出願されたかという部分だけで無効化が不可能となるのである。
被告の一つであるTeva Pharmaceuticalsは控訴したが、未だ裁判所による判断の内Helsinnに対する如何なる言及あるいは引用もなされていない。しかし、この判決は様々な面で重要となる。まず、秘密の、非公開販売はオン・セール・バーに適用され、既知の発明候補の開示を可能とする全ての分野を排除する長年続いた先例から離れるという事実。次に、同じ基準日を共有する場合であっても、家族間の特許者においては販売活動が既知の発明候補となることが可能となる。
また、発明者が最初に秘密販売を行ってから特許申請を出願することで自身の発明を、実質上特許期間を超えて商業的に不当利用する可能性を提起させる。更に、本質的なとりわけ海外での販売を含む費用のかかる試みとなる秘密販売の証拠を得る為に必要な発見努力を排除する。最後に、関心のある第三者の証言に大いに依存する全体の分野における証拠をも排除してしまう。販売または販売申し出を要求することで、販売時の弁護も必需的に公開されるのである。
クイン・エマニュエル・アークハート・サリバン
外国法事務弁護士事務所
東京オフィス代表 ライアン・ゴールドスティン
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マーケティング・ディレクター 外川智恵(とがわちえ)
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