お客様にとってもっとも関心のある知財や独禁法・金融・労使関係などの最新の話題をお届けします。
御社の法務・経営戦略にお役立てください。
-
クラスアクション訴訟に関するアップデート
外国政府調査の資料提出における米国クラスアクション訴訟の開示性について (18/03/10)
米国におけるクラスアクション活動の増加は外国政府による頻繁な調査対象となっている。
無論、こうした調査はさらに米国訴訟発生の元となっている。調査への返答として企業は外国機関に対し、該当事件のより公正かつ詳細な説明、及び主たる資料を提出するケースが多い。これらの資料提出は米国クラスアクション原告の嘆願リスト上位に常に位置している。資料の開示性に関する判断は事実に非常に特定的であるが、被告側はその生成を防ぐべく強固に反論している。
米国では、外国政府への提出における開示性は米政府への提出時の開示性とは異なった規則が適用される。米国政府による異議無く、訴訟者が米国機関に生成する関連資料は規則26の広義な規定下にて発見できる。例、In re Pac. Pictures Corp., 679 F.3d at 1126–31; Burden-Meeks v. Welch, 319 F.3d 897, 901 (7th Cir. 2003); In re Columbia/ HCA Healthcare, 293 F.3d 289, 291 (6th Cir. 2002)を参照のこと。
しかし、欧州委員会(“EC”)などの外国政府機関への提出時には国際礼譲など、異なる検討対象となる。最高裁はSocieté Nationale Industrielle Aérospatiale v. United States District Court for the Southern District of Iowa事件にて以下の資料生成のシナリオにおける国際礼譲の懸念を査定する5つの要因からなる検証を確立した:
1. 資料またはその他要求された情報の、訴訟における必要性
2. 要求の特殊性の度合い
3. 情報の起源が米国であるか否か
4. 情報確保のための代替手段が可用性、そして
5. 要求の不履行が米国の重要な利益を弱体化させる、あるいは要求の履行が情報の所在地である国の重要な利益を弱体化させる場合
482 U.S. 522, 545 n.28 (1987) (判例注解437引用).
もし裁判所が礼譲検討が最優先であると判断した場合、外国調査機関への提出は開示不可となる。この保護は原因となる非特権の情報を単に外国政府への規定効力として開示を妨げることはないものの、外国調査に関係する“一括の”資料開示は保護される。
米国判例法は外国政府機関に提出された機密資料が米高訴訟で開示可能かどうか、明確な指標を提供していない。In re Vitamins 反トラスト訴訟事件にて原告は被告側がECに対し行った企業免責声明を要求した。No. MDL 1285, 2002 WL 34499542 (D.D.C. 2002年12月18日).
ECの競争総局がアミカス・キュリエとして出廷し、地区裁判所が国際礼譲の原則下において免責声明を保護するよう要求したにも関わらず、地区裁判所はECの懸念を資料開示防止には不十分と判断した。そのうえ、地区裁判所は原告側によるECへの提出が作成物または調査特権に及ばないと判断。2002 WL 34499542, at *9.
しかし、複数の地区裁判所は正反対の判断に至っており、外国機関への同様な提出は米国訴訟では開示不可であると結論づけた。
In re Payment Card Interchange Fee and Merchant Discount反トラスト訴訟事件でニューヨーク州東部地区裁判所が ECの口頭審理テープ及び異議声明を要求する原告の申し立てを却下した。No. 05–MD–1720, 2010 WL 3420517 (E.D.N.Y. 2010年8月27日).
裁判所はAérospatiale事件の5つの要因を適用し、“委員会の機密性における関心が、原告のEU訴訟資料の開示における関心を上回る“と判断した。WL 3420517, at *9 (E.D.N.Y. 2010年8月27日).
同様にカリフォルニア州北部地区裁判所は重なる判決の中で外国機関に提出された機密資料を生成から保護してきた。In re Methionine Antitrust Litigation No. 00-1311, (N.D. Cal. June 17, 2002) (原告が訂正版へのアクセス権を持っており、未訂正の申請書へのアクセス権が無くとも原告側の開示を妨げなかった際に未訂正のEC免責申請生成を拒否); In re Cathode Ray Tube (CRT)反トラスト訴訟、2014 U.S. Dist. LEXIS 41275, at *74 (N.D. Cal. 2014年5月26日)(EC判決における機密版の保護;原告側は原因となった調査資料を要求しなかった);そしてIn re Rubber Chemicals 反トラスト訴訟, 486 F. Supp. 2d 1078 (N.D. Cal. 2007)(原告による書類開示要求申し立てを却下する判決が下される)。
上記事件における裁判所の判決は全て文脈依存によるものである。書類を生成から保護する際の判断には以下の重要な要素が考慮される:(i) 資料の非生成に強い関心があり、その生成を防ぐべく裁判所に直接要求している外国調査機関、そして(ii) 原告が、外国機関への提出原因となった開示資料を保有している。これにはIn re Vitamins事件でD.C地区裁判所が機密書類の生成を命じ、原告側が"自身の活動記録を徹底的に回避、または既存の記録を破棄することで自身の活動や他者とのミーティングなどを隠蔽するためには労をいとわなかった"と判断している。In re Vitamins 反トラスト訴訟., Misc. No. 99–197(TFH), 2002 U.S. Dist. LEXIS 26490 at *127
(D.D.C. 2002年1月23日) (Special Master’s Report).
クイン・エマニュエル・アークハート・サリバン
外国法事務弁護士事務所
東京オフィス代表 ライアン・ゴールドスティン
この件につきましてのお問い合わせ先
マーケティング・ディレクター 外川智恵(とがわちえ)
chietogawa@quinnemanuel.com