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クラスアクションに関するアップデート (20/09/20)
第九巡回裁判所及びカリフォルニア北部地区からなる第三条適格性に関する最近のプライバシー事件について
第三条、当事者適格 - またはその欠如 -はとりわけプライバシーにおける事件において訴訟者を混乱させている。Spokeo Inc. v. Robins, 136 S. Ct. 1540 (2016)で米国最高裁は原告が”いかなる具体的危害から分離した最小限の手続き違反”の申し立てによって第三条における事実上の損害条件を満たすことは出来ないと確証づけた。Id. at 1549. しかし、2020年度一連のデータプライバシー事例における第九巡回裁判所の判決は、”具体的、かつ特定の”損害条件を広く解釈し、また、最小限の手続き違反と見受けられるプライバシー申立てを主張する権利を与える意向を示している。この判決の概要は以下のとおりである。
Campbell v. Facebook, Inc.で第九巡回裁判所はFacebookがURLを求めて自身のプライベートメッセージをスキャンし、得た情報を許可なく使用したことが電気通信プライバシー保護法(ECPA)及びカリフォルニア州プライバシー侵害法に違反すると主張する原告らが、第三条当事者適格を確立していると判断。951 F.3d 1106, 1118 (9th Cir. 2020). Spokeo事件にて確立された原則を解析し、第九巡回裁判所は原告が規定の”最小限の手続き”違反に指し示すだけでは”具体的な”条件を満たしていないものの、法的規定下において”違反する度に損害を受ける実態的権利…”を申し立てる場合、”適格であるために更に危害を申し立てるには及ばない”としている。Id. at 1117(内部引用符は省略). 第九巡回裁判所は問題となっている危害が放棄違反に関連する漠然としたものであった為、立法機関の履歴及び判決が、申し立てられた被害が果たして”具体的”であるか否かを判断する際に重要であると説明した。 Id. at 1116-17.
特に裁判所は(1)問題のECPA及びCIPAの規定 - これは”データの取り扱いにおける手続きを提示するだけ”では無くプライベートなコミュニケーションの”実態的な侵害”に定めている - が”慣例上、訴訟の基準を提供する”物と”近しい関係”にある(この場合起訴可能な慣習法であるプライバシー権);及び(2)立法機関がこれら規定が”慣習法下のプライバシー保護における法定の近代化を反映する”と判断した。 Id. at 1117-18. よって、裁判所はこれら規定が”プライバシーへの実態的権利への文脈特定的拡張を成文化し” ”具体的な関心を保護する”為、原告が適格性を保つために更なる危害を申し立てる必要がないと結論づけた。Id. at 1117.
Campbell事件後すぐに、第九巡回裁判所は原告が”由緒あるプライバシーへの権利に対する明確な侵害を充分に申し立てた”とし、In re Facebook Inc,インターネット追跡訴訟にて通信傍受法、保管された通信法(SCA)、及びCIPA下においてプライバシー申立てを追求するに適格であると述べた。 956 F.3d 589, 599 (9th Cir. 2020). 原告は特にFacebookが、不当にログアウトしたユーザーのブラウザ履歴を追跡し、その情報を元に個人的なプロフィールをまとめ、広告主へと売却したと申し立てた。 Id. at 596. Campbellに似た事件の分析に続いて、第九巡回裁判所は(1)”男女問わず当人に関わる個人情報のコントロールを包含”するプライバシー権の侵害は慣習法で長らく告訴可能であり;また(2)法制が通信傍受法、SCA、及びCIPAを制定した段階で”由緒あるプライバシー権を保護する目的を持つ”と判断した。Id. at 598. 従って、裁判所は”これら法的規定は実体的なプライバシー権を成文化し、その侵害は適格を与えるに充分となる具体的な被害を生じさせる”と結論づけた。Id.
カリフォルニア州北部地区にある地区裁判所はこれら第九巡回裁判所の判決に依拠し、その他のプライバシーにおける事件にて同様の判断を下している。例えば、Campbellでの手引きに従って地区裁判所はIn re Google LLC St. View Elec. Commc’ns Litig.,にてGoogleがユーザーのプライベートな電子通信を傍受し、保管したと申立てた原告が通信傍受法申立てに適格であると判断。2020 WL 1288377, at *3 (N.D. Cal. Mar. 18, 2020). 同様にIn re Google Referrer Headerプライバシー訴訟で裁判所は Googleが不当にユーザーの検索結果を第三者サーバーに開示した事がECPA侵害であると申し立てた原告が、第九巡回裁判所によるECPAが”プライバシーへの実態的権利への文脈特定的拡張を成文化する法令に含まれており、具体的な危害という侵害である”という認識に基づいて適格であると判決を下した。2020 WL 3035796, at *6 (N.D. Cal. June 5, 2020) (内部引用符は省略).
クイン・エマニュエル・アークハート・サリバン
外国法事務弁護士事務所
東京オフィス代表 ライアン・ゴールドスティン
この件につきましてのお問い合わせ先
マーケティング・ディレクター 外川智恵(とがわちえ)
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