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欧米訴訟・規制に関するニュースアップデート
(24/08/16)
欧米訴訟・規制に関する次の3点のニュースをアップしました。今回はいずれも日本語で概要をお伝えします。詳細は英語サイトをご覧いただくか、解説をご所望の企業は東京オフィスにご連絡ください。
1.政府関連および規制関連訴訟の最新情報
2.環境・社会・ガバナンス(ESG)アップデート
3.著作権侵害の損害賠償が3年を超えて認められる可能性
1.政府関連および規制関連訴訟の最新情報
SECが“AIウォッシング”に注目する中、企業は公表資料を精査すべきである
米国証券取引委員会(SEC)は2024年3月、人工知能(AI)の活用について投資家に誤解を与えたとして、投資顧問会社に対して提起した2件の差止訴訟で和解をした。今回の措置は、SECの高官が数カ月前から警告していたもので、SECはAIの利用について根拠のない主張をする企業(SECは"AIウォッシング"と呼ぶ)を取り締まる意向だという。SECは今後もAIウォッシングの疑いに関する調査や訴訟を続けると予測されるが、こうした初期の事例は、投資顧問会社、ブローカー・ディーラー、一般投資家から資金を調達する企業など、規制対象企業に対して、SECがAIの利用について投資家を欺く企業にはペナルティを科すという公約を履行することを予告するものである。
そのため、SECから情報提供を要請されていないAIを使用している企業、特に金融サービス企業は注意が必要である。そこで本稿では昨今のSECの動向等について報告する。
本文は英語サイトでお読みください。
Government & Regulatory Litigation Update
2.環境・社会・ガバナンス(ESG)アップデート
EUおよび非EU企業に影響を及ぼす画期的な企業持続可能性デュー・ディリジェンス指令がついに承認される
長く困難な交渉の末に、2024年4月24日、EU議会はついに企業持続可能性デュー・ディリジェンス指令(CSDDD)を承認した。この画期的な成果は、残された手続き(欧州理事会による承認と、それに続くEU官報への掲載)が満たされれば、最終的にEUで採択される道を拓くものである。CSDDDは2024年第3四半期に発効する予定で、ESG規制に対するEUのアプローチに大きな変化をもたらすことになる。そしてこれは、EUのESG規制のうち最も重要な法案の一つとして、欧州だけでなく世界中の企業やそのサプライチェーンに大きな影響を与えるものとなることが予想される。
また、CSDDDは、多方面から「ゲームチェンジャー」「画期的」な指令と評されている。その影響については定かではないが、同指令が広範囲に影響を及ぼすことは間違いなく、すでに多くの企業がサプライチェーンのリスクと管理に対するアプローチを改めるよう求められていることは明らかである。積極的に行動する企業は、指令の施行までの時間を、自社の業務方針や枠組みを適応、発展、調整するために活用すべきである。
そこで本稿ではCSDDD承認の背景、およびディテールについて報告する。
本文は英語サイトでお読みください。
Environmental, Social and Governance (ESG) Update
3.著作権侵害の損害賠償は3年を超えて認められる可能性
長年、実務家は、著作権侵害訴訟における原告の損害賠償は、訴訟提起から遡って3年以内に発生した損害に限定されるものと考えてきた。この理解は、3年という消滅時効期間を定めた著作権法第507条(b)の一般的解釈に基づくものであったが、それはもはや正しい仮定ではない。
米国最高裁判所は、ワーナー・チャペル・ミュージック対ニーリー事件において、侵害行為が提訴から遡って3年以内に行われたか否かにかかわらず、原告は適時に行われた損害賠償請求について損害を回復する権利を有するとする見解を示した。言い換えれば、損害賠償を請求する訴訟が適時に提起されている限り、勝訴した原告は、侵害者の利益などの損害賠償を、3年以上前に遡って回復することができることを意味する。そして事実上、最高裁は、これについては期限はないと述べている。この判決は、映像エンターテインメント、ソフトウェア、書籍、メディア、音楽、ビデオゲームなど、著作物を使用する業界にとって重要な意味を持ち、原告側と被告側の双方の戦略に影響を与え、原告の損害賠償額が大幅に増加する(あるいは少なくとも原告による損害賠償請求額が増加する)可能性がある。
本文は英語サイトでお読みください。
Client Alert: Copyright Damages Can Extend Beyond 3 Years
クイン・エマニュエル・アークハート・サリバン
外国法共同事業法律事務所
東京オフィス代表 ライアン・ゴールドスティン
この件につきましてのお問い合わせ先
マーケティング・ディレクター 外川智恵(とがわちえ)
chietogawa@quinnemanuel.com