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ゲームは終わりではない: ハルクバンク後のコモンローにおける主権免責に関する残された疑問
(25/04/18)
主権免責の限界は近時、司法省が外国国家や国家の支援する団体に対してより多くの刑事訴追を行おうとしていることによって試されている。例えば、米国第2巡回区控訴裁判所は最近、Turkiye Halk Bankasi A.S. v. United States, ___ F.4th ___, 2024 WL 4536795 (2d Cir. 22 October 2024) において、コモンローにおける外国主権免責の範囲についての解釈を示した。本件は、トルコ政府が過半数を所有するTürkiye Halk Bankasi(以下「ハルクバンク」)によるマネーロンダリングおよび(米国による)制裁逃れに対する刑事訴追に関するものである。ハルクバンクは、外国主権免責法(Foreign Sovereign Immunities Act、以下「FSIA」)に基づく免責を受ける権利があると主張して、起訴に異議を申し立てた。この法律は、(1)「米国内での商業活動」、(2)「米国外での商業活動に関連した米国内での行為」、または(3)「米国内で直接的な影響を及ぼす」商業活動に関連した「米国外での行為」に基づく場合を除いて、主権免責を認めているからである。合衆国法典第28編第1605条(a)(2)。しかしながら、連邦地裁、第2巡回区、そして最終的には最高裁においても、ハルクバンクのこの主張は認められず、連邦地裁はこの事件を第2巡回区に差し戻した。
差し戻しにあたって第2巡回区は、「外国の国有企業が、その政府機能よりもむしろその商業活動に関連する犯罪の容疑について、別の主権国家による訴追から絶対的に免責されるという結論を導く根拠はコモンローにはない」、そしてこの案件においてハルクバンクに対する起訴の「要諦」は「商業活動」であったとして、コモンローによる外国主権免責は訴追の妨げにはならないとした。この判決は第2巡回区限りのものであり、かつ再度控訴される可能性が高いが、コモンローによる免責の輪郭について大きな議論の余地を残した。そして、これらの未解決の問題は、第2巡回区を含む各巡回区においての起訴に対する異議申し立ての根拠となる可能性があるだろう。
→本文は英語で提供しています。詳細はこちらでお読みください。(英語)
Noted with Interest - The Game Ain’t Over: Remaining Questions on Common Law Sovereign Immunity After Halkbank
クイン・エマニュエル・アークハート・サリバン
外国法共同事業法律事務所
東京オフィス代表 ライアン・ゴールドスティン
この件につきましてのお問い合わせ先
マーケティング・ディレクター 外川智恵(とがわちえ)
chietogawa@quinnemanuel.com