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環境保護庁(EPA)の「規制緩和の日」:
休息とリスクを天秤にかける
(25/07/18)
2025年3月12日、EPAは、「アメリカン・エネルギーの解放」、「生活コストの引き下げ」、「連邦協調主義の推進」を目的として、31件の規制緩和措置の実施を発表し、リー・ゼルディンEPA長官はこれを「わが国が経験した最大の規制緩和の日」と称した。そして同日、EPAの執行部門から出された報告書において、人々の健康とエネルギー生産を重視する一方で、「環境のための正義」という考え方を放棄するというトランプ政権の執行優先順位に関する「初期指針」の概要が示された。
これは、前政権時代に環境規制やコンプライアンス監視の強化に直面していた石油・ガスなどの規制の厳しい分野で事業を展開する多くの企業にとっては、朗報であると考えられる。こうした動きの一部、特に政府機関の規則変更案は、長期的にはこれらの分野での政府による取締りの脅威を軽減するかもしれない。しかしながらそれでも注意は必要である。(法律や規制の変更ではなく)施行優先順位の変更は、短期的にはコンプライアンス圧力を和らげることになるが、それを支える根本的な、いわば交通規則そのものを変えるものではなく、施行優先順位が将来変更された場合には、再び取締りの対象とされるかもしれないからである。他方、州規制当局の中には、連邦当局が一歩退いたとしても、州法に基づく取締りを継続、あるいは強化するところも出てくるかもしれないという点にも注意が必要である。
このように規制が激しく流動的な状況の下においては、それぞれの州の規制に個別に対応することにより、生産の不安定さや非効率性を招いてしまうよりも、規則の最も厳しい州の基準に全面的に準拠する方がコスト的にも望ましいかも知れない。むろん、その判断は業界や事業によって大きく異なる。そこで関係者は、規制の変化を注視し続け、施行優先順位の変化による短期的な規制緩和に過度に依存することは避けるべきである。
→本文は英語で提供しています。詳細はこちらでお読みください。(英語)
Environmental Protection Agency’s (EPA) “Day of Deregulation”: Weighing Respite and Risk
クイン・エマニュエル・アークハート・サリバン
外国法共同事業法律事務所
東京オフィス代表 ライアン・ゴールドスティン
この件につきましてのお問い合わせ先
マーケティング・ディレクター 外川智恵(とがわちえ)
chietogawa@quinnemanuel.com




